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富士経済、国内ティッシュエンジニアリング関連市場の調査結果を発表

2012-08-03

国内ティッシュエンジニアリング関連市場を調査

■6カテゴリー29品目の市場は、2013年に2011年比6.9%増の551億円
 ...製品化と臨床応用が進めば2020年には1,000億円超



 総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 阿部 界 03−3664−5811)は、人工組織や人工細胞、これらの研究や製造に関連する設備や機器などの国内市場を調査した。その結果を報告書「ティッシュエンジニアリング関連市場の最新動向と将来性 2012」にまとめた。

 この報告書では、生体デバイス(組織)、生体材料(生体補填剤)、細胞、細胞培養・保管施設/サービス、細胞培養機器/システム、細胞培養器材/試薬の6カテゴリー34品目の市場の現状と将来性を分析した。


<調査結果の概要>

 ★ティッシュエンジニアリング関連の国内市場(6カテゴリー29品目)★

            2011年 前年比 2013年予測 11年比
 生体デバイス          3.1億円  140.9%    9.0億円  290.3%
 生体材料            60.7億円  102.4%   63.0億円  103.8%
 細胞               11.6億円  106.4%   12.7億円  109.5%
 細胞培養・保管サービス   13.7億円  104.6%   15.9億円  116.1%
 細胞培養機器/システム 317.5億円  100.8%  339.2億円  106.8%
 細胞培養器材/試薬    108.5億円  101.4%  112.0億円  103.2%
 合計              514.9億円  101.5%  551.6億円  107.1%

 ティッシュエンジニアリング関連の国内市場は、調査対象6カテゴリー34品目の内、2013年までに市場を形成している(或いは金額ベースで市場規模を算出している品目)6カテゴリー29品目を対象としている。
 2011年の市場は前年比1.5%増の515億円となった。この市場は2013年には2011年比7.1%増の552億円が予測される。研究用途主体であることから2020年を展望しても市場は650億円程度であるが、再生医療が本格化し、製品化と臨床応用が進めば1,000億円超の規模が期待される。

 生体デバイス市場は、現在市場形成しているのは培養皮膚のみである。培養皮膚は順調に伸びると見られる。2013年から培養軟骨の市場が加わると予測される。
 生体材料市場は皮膚補填材(人工真皮)と骨補填材を対象としているが、その市場は骨補填材が大半を占めている。骨補填材は、高齢化に伴い骨折などの骨損傷患者が増加傾向にあるため需要は拡大するが、保険償還価格が下がっており、伸びは鈍化すると予想される。
 細胞市場はヒト細胞とES細胞/iPS細胞を対象としている。ヒト細胞は基礎研究や薬理試験で初代細胞や幹細胞の需要が高まっており、微増している。また、2011年にiPSアカデミアジャパンやリプロセルが本格参入したことでiPS細胞が伸びている。
 細胞培養・保管サービス市場は細胞/組織バンクを対象としている。産婦人科医師への啓発活動等が功を奏し、臍帯血バンクが伸びている。
 細胞培養機器/システム市場は遠心分離機、CO2インキュベータ、自動培養装置など14品目を対象としている。2011年の市場は、前年に補正予算を追い風に拡大した反動で縮小した品目があり、前年比0.8%増に留まった。2012年は縮小する品目もあるが、殆どの品目が横ばい若しくはプラスとなることから前年比5.1%増が見込まれる。
 細胞培養器材/試薬市場は細胞培養用のシャーレやプレート、培地、トランスフェクション試薬など8品目を対象としている。ほとんどの品目が横ばいから微増と、堅調に推移している。


<注目市場>

 1.培養皮膚
     2011年    前年比    2013年予測   11年比
     3.1億円   140.9%   8.0億円     258.1%

 ここでは、熱傷や火傷などによって機能障害及び機能不全となった疾患部に対して移植するため培養した表皮、真皮、その両方の性質を組み合わせた複合型の培養皮膚を対象としている。培養される細胞には、自分自身の自家細胞、他人の他家細胞、又はヒト以外の細胞を使った異種細胞があり、現在、国内で製造承認を受けているのは自家細胞培養皮膚のみである。
 2011年は50人前後の重度熱傷患者に採用されており、市場は前年比40.9%増の3.1億円となった。2012年の4月1日に保険適用枚数の拡大が認めら、これまで患者1人当たりに認められる枚数が20枚だったのが、40枚に倍増されることから、2012年の市場は5億円超になると見込まれる。
 尚、現状保険適用されているのは1社1製品であるが、複合型培養皮膚の保険適用を目指しているところもあり、2015年〜20年頃には製品投入が期待される。


 2.ES細胞/iPS細胞
     2011年    前年比    2013年予測   11年比
     1.0億円   250.0%    1.7億円    170.0%

 ここでは民間企業より販売されている万能細胞の一種、ES細胞(embryonic stem cell)とiPS細胞(induced pluripotent stem cell)、それらから分化させた細胞を対象としている。基礎研究を含めた各種実験用途向けが中心である。また、薬理試験用途向けなどもある。
 2011年の市場は、iPSアカデミアジャパンやリプロセルの本格参入により、iPS細胞領域が大きく伸びている。iPSアカデミアジャパンは心筋、内皮、神経の分化細胞を製薬メーカーや大学・研究機関向けに広く販売している。iPSアカデミアジャパンからiPS化技術を導入したリプロセルは、心筋、神経の分化細胞を販売している。2012年は肝細胞の分化細胞を投入したことから実績拡大が期待される。
 一方、ES細胞領域は、GEヘルスケアジャパンやメルクなど数社が参入しているが、ユーザーニーズはiPS細胞領域に傾いている。


 3.細胞/組織バンク
     2011年    前年比    2013年予測   11年比
    13.7億円   104.6%   15.9億円    116.1%

 ここでは、本人または他人の疾患並びに老化による身体の衰えに対し、移植などの治療を行うために細胞や組織を保管する「臍帯血バンク」や「皮膚細胞/組織バンク」「歯髄細胞バンク」を対象としている。民間バンクと公的バンクがあり、公的バンクが第三者への提供であるのに対し、民間バンクは本人やその家族への提供となる。
 2011年の市場は前年比4.6%増の13.7億円となった。東日本大震災後の原発事故、放射能汚染による白血病への不安から、特に臍帯血バンクや歯髄細胞バンクが注目されている。
 市場の90%が臍帯血バンクである。臍帯血中に含まれる造血幹細胞や間葉系幹細胞が乳児本人やその家族へ活用できるということから臍帯血バンクへの登録は年々増加している。トップシェアはステムセル研究所で、産婦人科医師への米国バンクの基礎データを使用した積極的な啓発活動でシェアを確保している。
 今後市場は、参入企業の産婦人科医師への啓発活動が活発化している臍帯血バンクに牽引される形で成長すると予想される。また、2009年より始まった歯髄細胞バンクが急速に歯科クリニックとの提携数を増やしていることから、2015年頃からは歯髄細胞バンクも後押しすると見られる。


<調査対象>

 【生体デバイス】
    培養皮膚、培養軟骨、培養角膜、心筋シート、その他再生医療
 【生体材料】
    皮膚補填材(人工真皮)、骨補填材
 【細胞】
    ヒト細胞、ES細胞/iPS細胞
 【細胞培養・保管施設/サービス】
    細胞培養センター(CPC)、細胞/組織バンク
 【細胞培養機器/システム】
    遠心分離機、CO2インキュベータ、自動培養装置、超低温フリーザ、薬用冷蔵ショーケース、フローサイトメーター、細胞計数分析装置、生死細胞分析装置、セルイメージングシステム、ティッシュスライサー、破砕装置、安全キャビネット/クリーンベンチ、滅菌器、アイソレータ、細胞搬送容器ユニット
 【細胞培養器材/試薬】
    細胞培養用シャーレ、細胞培養用プレート、細胞培養用ゲル、細胞培養用培地、血清、トランスフェクション試薬、細胞凍結保存液、細胞培養バッグ


<調査方法>

 富士経済専門調査員による参入企業、関連団体等への面接又は電話によるヒアリング、社内データベースの活用


<調査期間>

 2012年4月〜6月


以上


 資料タイトル :「ティッシュエンジニアリング関連市場の最新動向と将来性 2012」
 体裁      :A4判 266頁
 価格      :120,000円(税込み126,000円)
           書籍版・PDF版セット 140,000円(税込み147,000円)
 調査・編集  :富士経済 大阪マーケティング本部 第一事業部
           TEL:06−6228−2020  FAX:06−6228−2030
 発行所     :株式会社 富士経済
           〒103−0001東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 F・Kビル
           TEL:03−3664−5811(代) FAX:03−3661−0165
           e−mail:info@fuji-keizai.co.jp
           この情報はホームページでもご覧いただけます。
           URL:http://www.group.fuji-keizai.co.jp/  https://www.fuji-keizai.co.jp/


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