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アステラス製薬、藤田保健衛生大学と統合失調症・双極性障害患者の脳で神経の成熟過程の障害を発見

2012-07-28

統合失調症双極性障害患者の脳で神経の成熟過程の障害を発見
〜米国科学誌「Translational Psychiatry」に発表〜



 アステラス製薬株式会社(本社:東京、社長:畑中 好彦、以下「アステラス製薬」)と学校法人藤田学園 藤田保健衛生大学(本部:愛知県、学長:黒澤 良和、以下「藤田保健衛生大学」)は、アステラス リサーチ インスティチュート オブ アメリカ LLC(英名:Astellas Research Institute of America LLC(ARIA))、藤田保健衛生大学 総合医科学研究所の宮川剛教授、米国スタンレー医学研究所(英名:Stanley Medical Research Institute)との共同研究において、統合失調症双極性障害患者の脳で神経の成熟過程の障害が引き起こされていることを発見し、その結果が現地時間7月10日付けの米国科学誌「Translational Psychiatry」に掲載されましたので、お知らせします。

 海馬は記憶学習、感情制御、ストレス応答に重要な脳の領域であり、統合失調症双極性障害との関連性が示唆されています。また、海馬では大人でも新しい神経が毎日生まれていることが知られています(神経新生)。精神疾患に関連する遺伝子の操作により作製された一部のマウスモデルは統合失調症双極性障害患者で認められる行動障害(例えば、認知機能障害、引きこもり、行動周期の乱れなど)を呈すると共に、海馬での神経新生の成熟過程が障害されていることが宮川剛教授らの研究グループにより報告されています。これらの精神疾患マウスモデルでは神経の成熟過程が障害されることから海馬の歯状回での、神経の幼若期のマーカーである蛋白質Calretininの発現の亢進、成熟神経のマーカーであるCalbindinの発現の低下が観察され、同時に神経の電気生理学的機能が障害されていることが知られています。この海馬神経の成熟過程の障害により統合失調症双極性障害に関連した行動障害が引き起こされている可能性があると考えられています(Immature Dentate Gyrus仮説)。

 本共同研究では、これまで遺伝子改変マウスモデルで見出されてきた神経の成熟過程の障害が精神疾患患者の海馬でも起きているかどうかを検討しました。米国スタンレー医学研究所で保有する統合失調症双極性障害、うつ病患者の死後脳サンプル(海馬)を用いて幼若神経マーカーと成熟神経マーカーの発現を検討した結果、統合失調症双極性障害患者群で神経成熟障害マウスと同様に幼若神経マーカーCalretininの発現が有意に増加し、双極性障害患者群では成熟神経マーカーCalbindinの発現が低下している傾向が観察されました。また、幼若神経マーカーの発現は幻覚や妄想などの精神障害を患っていた患者群と自殺を死因とする患者群で高いことがわかりました。今回の研究で、遺伝子改変マウスモデルで検出された海馬での神経の成熟過程の障害が統合失調症双極性障害患者の海馬でも観察されたことから、この海馬の神経成熟障害を改善する薬剤が、新規の作用機序に基く統合失調症双極性障害などの精神疾患の画期的な治療薬となる可能性を見出しました。


 アステラス製薬と藤田保健衛生大学は、この海馬における神経成熟障害の研究を進めることにより精神疾患の発症メカニズムを解明し、新薬の創製につなげることを期待します。



以上



【参考資料】

 ※添付の関連資料を参照


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