Article Detail
水産総合研究センター、経済性も兼ね備えたタイラギ垂下養殖技術を開発
経済性も兼ね備えたタイラギ垂下養殖技術の開発に成功
・タイラギを収容する容器の改良、ロープ式養殖法の導入など養殖の大規模化と低コスト化を備えた技術開発に成功
・既に漁業者が実証試験に取り組み、2〜3ヵ月の養殖で平均生残率60%以上、貝柱の平均重量が2.1倍になるなど実績を上げつつあります。
有明海の水産重要種であるタイラギはハボウキガイ科に属する大型二枚貝で、西日本の内湾砂泥域に広く生息しています。特に有明海では古くから漁獲量が多く、有数のタイラギ生産海域でした。本種の資源量は減少が顕著となり、かつて優良漁場だった諫早湾での潜水器漁業は、1993年以来中断した状況にあります。これは、海底の環境が変化し、下層部で頻繁に貧酸素水塊が出現することが主な原因と考えられています。そこで、独立行政法人水産総合研究センターでは現在の有明海の環境でも育成可能な垂下式養殖の実用化を目指し、海の中層を利用して出荷サイズまで育てる技術を開発してきました。
今回、漁業者でも取り組み易い簡便で採算性の高い技術開発に取り組み、タイラギを収容する容器の改良やロープ式養殖法の導入を行うなどして、養殖の大規模化と低コスト化による経済性を備えた実用レベルの技術開発に成功しました。このロープ筏の採用により竹筏に比較して概算で年間40万円のコストダウンになります。既にこのシステムによる垂下養殖については漁業者が実証試験を行っており、2〜3ヶ月の垂下養殖により平均生残率60%以上、貝柱の平均肥育率2.1倍を達成し、実績が上がりつつあります。
※別紙は添付の関連資料を参照
*本研究は、水産庁補助事業「有明海漁業振興技術開発事業」のうち長崎県が実施した事業の中で、長崎県から水研センターへの委託事業「有明海漁業振興技術開発事業」のうち「たいらぎ垂下養殖技術の開発」により実施されたものです。