アーム、Ｌｉｎｕｘ開発者向けに強力な性能解析機能を追加したＳｔｒｅａｍｌｉｎｅパフォーマンス・アナライザーを発表

ＡＲＭ、Ｌｉｎｕｘ開発者をターゲットとしたＳｔｒｅａｍｌｉｎｅパフォーマンス・アナライザを発表

ＡＲＭ　ＤＳ−５開発ツールに強力な性能解析コンポーネントを追加


　英ＡＲＭ社（本社：英国ケンブリッジ、日本法人：横浜市港北区、以下ＡＲＭ）は、ＡＲＭ搭載機器上で実行されるＬｉｎｕｘアプリケーションを最適化するための高性能ツールとして、Ｓｔｒｅａｍｌｉｎｅパフォーマンス・アナライザを発表しました。
　Ｓｔｒｅａｍｌｉｎｅは、解析データを自動的に収集し、グラフを使ったわかりやすいレポートを生成します。これによりソフトウェア開発者は、アプリケーションのホットスポット、マルチスレッディング上の問題、システム・リソースの非効率的な使用を容易に発見できます。

　Ｓｔｒｅａｍｌｉｎｅは、ＡＲＭ搭載機器とのＴＣＰ／ＩＰ接続（イーサネット、Ｗｉ−Ｆｉ、ＵＳＢなど）だけで、プロセッサのプログラム・カウンタやパフォーマンス・カウンタのサンプルを収集することができます。接続が低コストのため、ターゲットのメモリ・リソースに関係なく、Ｌｉｎｕｘソフトウェア・スタック全体の長時間にわたる解析が可能です。
　収集した解析データは、数秒で処理され、ソフトウェア実行のシステム・レベル・ビューとして表示されます。また、ソフトウェアのさまざまな領域の解析に焦点を絞って再処理でき、収集を何度も実行する必要はありません。

　開発者は、Ｓｔｒｅａｍｌｉｎｅの革新的なグラフィカル・ユーザ・インタフェースに従い、Ｌｉｎｕｘのドライバ、ライブラリ、アプリケーションを簡単に最適化することができます。プロファイリング・レポートは、プロセスからスレッド、関数、ソース・コード、アセンブリ・コードのレベルまで解析でき、重要な性能領域の特定に役立ちます。コード内の各コール・パスについてスタックの使用状況がレポート表示されるため、開発者は、各スレッドのダイナミック・メモリ必要量を最小化するよう、適切な関数に力を注ぐことができます。

　Ｓｔｒｅａｍｌｉｎｅには、アクティブなプロセス、スレッド、関数、およびキャッシュ・ミスやプロセッサ・ロードなどパフォーマンス・カウンタ関連情報の時間的相関関係を示す独自のタイムライン・ビューもあります。このタイムライン・ビューにより、開発者は、マルチスレッド・アプリケーションの実装における非効率な部分を容易に特定し、パフォーマンス・ボトルネック、最適でないキャッシュ使用、電力を浪費するアイドル・ループ、そのほかシステム全体にわたる多くの性能問題の原因となっているコード領域を把握できます。

　Ｓｔｒｅａｍｌｉｎｅ専用のカーネル・モジュールは、カーネル２．６．３２以降をベースとするＡＲＭＬｉｎｕｘシステムと互換性を持ち、幅広い性能関連データを収集しつつ、ツールの平均オーバヘッドを５％未満に抑えます。オープン・ソース・ドライバであるＳｔｒｅａｍｌｉｎｅは、Ｌｉｎａｒｏ（ＴＭ）カーネルをベースとするものを含め、一般的なＡＲＭ　Ｌｉｎｕｘ　ＢＳＰに統合されるため、ユーザは、システムを立ち上げた時点からソフトウェアの最適化を開始することが可能です。

　ＡＲＭのシステム設計部門執行副社長兼ジェネラル・マネージャであるＪｏｈｎ　Ｃｏｒｎｉｓｈは、次のように述べています。「ＡＲＭは、設計効率を高め、製品化期間を短縮するための最高のツールをソフトウェア開発者に提供しようと努めています。Ｓｔｒｅａｍｌｉｎｅにより、開発者は、コードの更新がシステム性能にどのような影響を与えるかを容易に把握できます。性能解析は、ソフトウェア開発後の改善作業として行うものではなく、ソフトウェア開発の一環として不可欠なものになるでしょう。」

　米フリースケール・セミコンダクタ社のｉ．ＭＸエコシステム開発マネージャであるＣｈｉｐ　Ｏ"Ｄｏｎｎｅｌｌ氏は、次のように述べています。「フリースケールは、Ｓｔｒｅａｍｌｉｎｅのリリースを歓迎しており、Ｌｉｎｕｘ　ＢＳＰにＳｔｒｅａｍｌｉｎｅドライバを統合することによって、ｉ．ＭＸプラットフォーム向けの最良の型にとらわれないサポートを提供したいと考えています。フリースケールは、２０１０年９月のＤＦＡＥで公開したように、新しいｉ．ＭＸ２８デバイスに対応するＤＳ−５デバッガの完全なＬｉｎｕｘサポートにおいても、ＡＲＭと協力しています。」

　韓サムスン電子社システムＬＳＩ部門、ＳｏＣプラットフォーム開発担当副社長であるＴｈｏｍａｓ　Ｋｉｍ氏は、次のように述べています。「システム全体の性能と消費電力は、ソフトウェア開発者にとって常に重要な問題です。開発者は、根拠に基づいて設計上の決断を下すために、適切な情報を生成するツールを必要とします。当社は、ユーザの現実的な問題を解決するためのＳｔｒｅａｍｌｉｎｅの仕様を決定する上で、ＡＲＭと積極的に協力しています。」

　仏Ａｄｅｎｅｏ　Ｅｍｂｅｄｄｅｄ社のＣＥＯ（最高経営責任者）であるＹａｎｎｉｃｋ　Ｃｈａｍｍｉｎｇｓ氏は、次のように述べています。「組み込みＬｉｎｕｘとＡｎｄｒｏｉｄの世界的エキスパートであり、欧州と北米にエンジニアリング・オフィスを構えるＡｄｅｎｅｏ　Ｅｍｂｅｄｄｅｄは、ＤＳ−５開発環境を採用することにより、自社および取引企業の生産性を大幅に高めました。今後もＡＲＭとの緊密な協力を通じて、ＡＲＭ組み込みＬｉｎｕｘに関するトップ・レベルのサポート、トレーニング、設計サービスを、Ｓｔｒｅａｍｌｉｎｅおよび他のＤＳ−５コンポーネントを使用する機器メーカに提供し、安定した組み込み設計の開発に貢献するとともに、製品化期間を短縮していきたいと思います。」

Ｓｔｒｅａｍｌｉｎｅのデモンストレーション
　以下のイベントでは、Ｓｔｒｅａｍｌｉｎｅのデモンストレーションおよび製品の詳細をご覧いただけます。
　http://www.arm.com/streamline
−　組込み総合技術展「Ｅｍｂｅｄｄｅｄ　Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｙ　２０１０」
　　２０１０年１２月１日（水）〜３日（金）　１０：００　−　１７：００　　パシフィコ横浜
　　ＡＲＭブース内で、ＤＳ−５を使ったＬｉｎｕｘアプリケーションのＳｔｒｅａｍｌｉｎｅのデモンストレーションを予定しています。
　　http://www.jasa.or.jp/et/ET2010/visitor/list.html

提供時期
　Ｓｔｒｅａｍｌｉｎｅは、ＷｉｎｄｏｗｓおよびＬｉｎｕｘのホスト・プラットフォームに対応するＡＲＭ　Ｄｅｖｅｌｏｐｍｅｎｔ　Ｓｔｕｄｉｏ　５（ＤＳ−５）のコンポーネントとして提供中です。

ＡＲＭ社概要
　ＡＲＭは、ワイヤレス、ネットワーク、コンシューマ・エンターテイメント・ソリューションからイメージング、自動車、セキュリティ、そしてストレージ機器といった高度なデジタル製品のコアとなる技術をデザインしています。
　ＡＲＭが提供する総合的な製品・ＩＰ（知的財産）には、３２ビット組込みＲＩＳＣマイクロプロセッサ、グラフィックス・プロセッサ、ビデオ・エンジン、組み込みソフトウエア、セルライブラリ、組み込みメモリ、高速コネクティビティ製品、ペリフェラル、開発ツールが含まれます。ＡＲＭは、総合的なデザインサービス、トレーニング、サポート、メンテナンスとＡＲＭの幅広いパートナーコミュニティと共に、信頼性の高い製品を迅速に市場へ投入するためのトータルシステムソリューションを、大手エレクトロニクス企業に提供しています。ＡＲＭについて詳しくは当社日本語Ｗｅｂサイト（　http://www.jp.arm.com/　）や、以下リンク（英語）をご覧ください。

−　ＡＲＭ　ｗｅｂｓｉｔｅ：　http://www.arm.com/
−　ＡＲＭ　Ｃｏｎｎｅｃｔｅｄ　Ｃｏｍｍｕｎｉｔｙ（Ｒ）：　http://www.arm.com/community/
−　ＡＲＭ　Ｂｌｏｇｓ：　http://blogs.arm.com/
−　ＡＲＭＦｌｉｘ　ｏｎ　ＹｏｕＴｕｂｅ：　http://www.youtube.com/user/ARMflix
−　ＡＲＭ　ｏｎ　Ｔｗｉｔｔｅｒ：
−　http://twitter.com/ARMMobile
−　http://twitter.com/ARMCommunity
−　http://twitter.com/ARMEmbedded
−　http://twitter.com/ARMLowPwr
−　http://twitter.com/KeilTools
−　http://twitter.com/ARMMali

※ＡＲＭはＡＲＭ社の登録商標です。ＣｏｒｔｅｘとＭＰＣｏｒｅはＡＲＭ社の商標です。その他のブランドあるいは製品名は全て、それぞれのホールダーの所有物です。
　「ＡＲＭ」とは、ＡＲＭ　Ｈｏｌｄｉｎｇｓ　ｐｌｃ、その事業会社であるＡＲＭ　Ｌｉｍｉｔｅｄ、各地域の子会社であるＡＲＭ　Ｉｎｃ．；　ＡＲＭ　ＫＫ；　ＡＲＭ　Ｋｏｒｅａ　Ｌｉｍｉｔｅｄ．；　ＡＲＭ　Ｔａｉｗａｎ　Ｌｉｍｉｔｅｄ；　ＡＲＭ　Ｆｒａｎｃｅ　ＳＡＳ；　ＡＲＭ　Ｃｏｎｓｕｌｔｉｎｇ　（Ｓｈａｎｇｈａｉ）　Ｃｏ．　Ｌｔｄ．；　ＡＲＭ　Ｇｅｒｍａｎｙ　ＧｍｂＨ；　ＡＲＭ　Ｅｍｂｅｄｄｅｄ　Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｉｅｓ　Ｐｖｔ．　Ｌｔｄ．；　ＡＲＭ　Ｎｏｒｗａｙ，　ＡＳ　ａｎｄ　ＡＲＭ　Ｓｗｅｄｅｎ　ＡＢの全部または一部を意味します。