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大日本印刷など、高硬度と透明性を実現する機能性フィルムのコーティング原料を開発

2012-06-25

大日本印刷とDNPファインケミカル タッチパネル等の機能性フィルムのコーティング原料を開発
高硬度を実現しながらフィルムのカールを防ぐ、シリカ表面を化学修飾したシリカ分散液


 大日本印刷株式会社(以下:DNP)と、その100%子会社で機能性材料の開発・販売を行う株式会社DNPファインケミカル(*1)は、フィルムが丸まってしまう現象(カール)を防ぐとともに、高硬度と透明性を実現するコーティング原料『FCNSシリーズ』を開発しました。

 DNPファインケミカルが、本年10月に本製品の販売を開始します。


【開発の背景】
 タッチパネルを保護するカバーフィルムやディスプレーの最表面に用いられる光学フィルムの多くには、表面保護を目的としてシリカ微粒子を用いたハードコート剤が塗布されています。従来のハードコート剤は、塗布後、UV(紫外線)を照射した際にフィルムをカールさせてしまう傾向があり、ディスプレーとの貼り合わせ工程などで不具合を引き起こす恐れがありました。この課題を解決するため、DNPとDNPファインケミカルは、高硬度と透明性を維持しながらもフィルムのカールを防ぐ表面修飾シリカ分散液を開発しました。


【新製品「表面修飾シリカ分散液」の概要】
 本製品は、フィルムに塗布するハードコート剤の原料となるシリカ分散液です。15〜30ナノメートル径と極めて微細なシリカ粒子を使用し、化学反応によって、ある物質と別の原子団などを結合させる“化学修飾”をシリカ粒子の表面に施しています。これにより、基材フィルムのカールを抑制するとともに、高い全光線透過性と低いヘイズ性(濁度)を保持することが可能となりました。また、鉛筆硬度が4H(*2)という高い硬度も実現しています。

【今後の取り組み】
 企業のニーズに合わせて防汚性や滑り性を高めるなどの機能を付与するカスタマイズのほか、ハードコート剤自体の設計・開発にも対応します。

 DNPファインケミカルは、表面修飾シリカ分散液をDNPの光学フィルム製造に展開するほか、多くのメーカーに販売し、2015年に5億円の売上を見込みます。


大日本印刷株式会社
 本社 : 東京都新宿区市谷加賀町1−1−1
 社長 : 北島義俊  資本金 : 1,144億円

株式会社DNPファインケミカル
 本社 : 神奈川県横浜市緑区青砥町450
 社長 : 戸塚嚴男  資本金 : 20億円(DNP100%)


*1 DNPファインケミカルは、1891年に印刷インキ会社として創業して以来、精密分散や樹脂合成などの技術を培ってきました。2009年に印刷インキ事業をDICグラフィックス株式会社に譲渡した後は、これらの技術を応用した機能性材料の開発に注力しています。
 液晶カラーフィルターやフォトマスクなどの機能性部材を開発するDNPおよび、DNPファインケミカルの子会社で機能性素材を開発する株式会社DNPファインケミカル福島と連携し、高い品質で生産適性やコスト競争力を備えた機能性材料の開発に取り組んでいます。

*2 鉛筆硬度の測定条件
 PET基材にUV樹脂と本製品から成るハードコート剤を塗工した場合

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