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三井住友建設など、液状化や側方流動を抑制する対策工法「流動閉塞杭」の開発強化
新しい液状化対策工法"流動閉塞杭"の開発強化
―港湾空港技術研究所、東京大学との共同研究を推進―
三井住友建設株式会社(東京都中央区佃2−1−6 社長 則久 芳行)は、東京大学と共同で開発した液状化や側方流動を抑制する対策工法"流動閉塞杭"の現場適用を目指し、港湾空港技術研究所および東京大学との三者による新たな共同研究によって開発を強化していきます。
流動閉塞杭は、深層混合処理工法における新たな改良杭配置方法であり、液状化および液状化に伴う側方流動対策工法として従来の杭式改良よりも高い改良効果が期待できます。これまでの実験結果から、従来の配置方法と比較して最大30%程度の変位抑制効果が得られています。
今後、護岸背後地盤や堤防などの側方流動対策として積極的に営業展開していく方針です。
■技術開発の背景
東日本大震災によって広い範囲で液状化による被害が生じました。今後、東海・東南海・南海地震の発生が危惧される中、液状化対策の実施は緊急の課題となっています。
液状化対策について、護岸などの構造物においては、液状化の防止とともに、液状化時の地盤流動に対する変形抑制が必要になります。
流動閉塞杭は、杭式深層混合処理工法における改良杭の配置方法を工夫することによって、従来の杭式深層混合処理工法と比較して、液状化に伴う側方流動量を低減することができます。また、改良形式が杭式のため改良体を連続させる必要がなく、既設の地中構造物に対して柔軟に対応した施工が可能であるなどの利点があります。
■有効な適用対象
流動閉塞杭は、次のような場所の液状化・側方流動対策工法として有効です。
(1)護岸構造物・堤防の背後地盤
(2)盛土法尻・盛土直下の地盤
(3)傾斜地
■"流動閉塞杭"の特長
流動閉塞杭は、図−1(a)に示すように間隔dで正方形に配置された改良杭4本を一つのグループとし、その中心をX方向およびY方向に2dまたはd/2の距離でずらしながら改良杭を配置するものです。従来の改良杭の配置方法である正列配置(図−1(b))や千鳥配置(図−1(c))では、いずれかの方向に未改良領域が連続するため、その方向への地盤のすり抜け流動が考えられます。しかし、流動閉塞杭の配置方法ではどの方向を見てもある一定の範囲に改良杭が存在するため、地盤の流動が阻害され側方流動に対する変位低減効果が高まります。また、連続する未改良領域が従来の配置方法と比較して少ないことから、改良杭の地盤のせん断変形抑制による、液状化に対する改良効果も期待できます。
※図−1は添付の関連資料を参照
流動閉塞杭の特長は次のとおりです。
(1)側方流動量の低減
・従来の杭式深層混合処理工法と比較して、液状化に伴う側方流動量を低減することができます。
(2)施工性の向上
・改良形式が杭式のため改良体を連続させる必要がなく、既設の地中構造物に対して柔軟に対応した施工が可能です。
■模型振動実験
東京大学において、流動閉塞杭の側方流動低減効果の確認のための模型振動実験を実施しました。その結果、従来工法に対して液状化に伴う側方流動量を低減することができることを確認しました。
※写真−1、2は添付の関連資料を参照
■港湾空港技術研究所・東京大学・三井住友建設三者による共同研究を開始
共同開発では遠心模型振動実験や数値シミュレーションを行い、実地盤に流動閉塞杭を適用した場合の効果を予測し、評価法を確立して現場適用を目指します。