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島津製作所、微量な血漿中の放射能濃度測定システム「μFmPC」を発売
小動物用PETによる薬物動態解析や薬力学的評価に強力な支援ツール
微量血漿中放射能濃度測定システム「μFmPC」を発売
− 世界初! マウスに対する血漿中放射能濃度時間曲線の測定を実現 −
〔島津 微量血漿中放射能濃度測定システム「μFmPC」 CD−Well、解析ソフト〕
※画像は添付の関連資料「添付画像」を参照
島津製作所は、PETを用いたマウス等の小動物による薬物動態解析や薬力学的評価を支援するツールである微量血漿中放射能濃度測定システム「μFmPC」を、6月末に発売する予定です。
本製品では、円盤形の遠心ディスク(CD−Well)に配列された36本の微小流路に小動物の血液を滴下した後、ディスクごと遠心分離を行うことによって、流路内で血漿を分離します。その後、光学スキャナからの血漿(全血)領域の形状情報とイメージングプレートによる放射能分布情報を得、これらの情報を専用ソフトによって解析し、血漿中あるいは全血中の放射能濃度を測定するという新たな手法を採用しました。
本製品では、必要な血液量が1〜4μL/採血と極微量であり、最短5秒という短い間隔で採血ができるため、放射能濃度時間曲線(Time Activity Curves;TAC)のピーク付近を取りこぼさないなど、精度の高い測定を実現しております。また、血液量の問題からこれまでは難しかった体の小さいマウスでTACを得ることもできますし、測定による動物への負担を大幅に軽減しました。そして、試料毎の遠心分離によって血漿成分を分取する煩雑な作業が不要となります。
本製品は、独立行政法人放射線医学総合研究所と共同で開発しました。
<開発の背景>
近年抗がん剤やアルツハイマー病に代表される脳疾患の診断薬・治療薬などの新規医薬品の開発プロセスにおいて、医薬品の薬物動態の解析や薬力学の評価のためにPETが用いられています。
PETで投与薬剤の体内動態を撮影して、神経受容体の濃度や腫瘍の代謝といった生体機能を定量評価することができますが、正確に評価するためには動脈血を採取して血漿中の放射能濃度の経時変化に関する情報(TAC)が必要となります。
従来はチューブに採血してから遠心分離を行い、血漿成分を分取して放射線量を測定する方法が用いられてきましたが、一条件あたりの採血量が数十μLと多くなるため、小動物でのデータ取得は困難でした。また、血液サンプルが十分得られる場合でも、血漿を分取して放射線量を測定するのは非常に手間の掛かる作業です。
そこで当社は、少ない採血量で放射能濃度を測定したいという市場のニーズを実現するために、本製品を開発しました。
<本製品の特長>
1.少ない採血量で測定可能
一条件あたりの採血量が1〜4μLと少ないため、最短5秒という短い時間間隔での血液採取が可能であり、精度の高いTACを得ることができます。また、これまで対応の難しかったマウスでもTACを取得できます。
2.血漿分取が不要
従来法のように実際に血漿成分を分取する作業操作が必要なく、光学スキャナでの画像取り込みだけで全流路の血漿領域を一度に特定できるため、作業量の大幅な低減短縮が可能です。
当社は、本製品を足がかりとして今後PETによる医薬品開発や基礎研究を支援するツールを展開し、病気の超早期診断・治療やオーダーメイド医療の実現に向けて期待されている分子イメージング事業を推進していきます。
【名称】
島津 微量血漿中放射能濃度測定システム「μFmPC」
・スタータキット(CD−Well 10枚、位置合わせプレート 1枚、画像解析ソフト 1枚)
価格:200万円(税別)
・CD−Well 5枚入りパック
価格:12万5千円(税別)