Article Detail
飛島建設など、低強度・軽量コンクリート建物にも対応できる耐震補強用接合工法を開発
「低強度コンクリート」と「軽量コンクリート」にも対応可能な耐震補強用接合工法の開発
−耐震補強が困難な建築物への対応強化−
飛島建設株式会社(社長:伊藤寛治)、株式会社大本組(社長:大本万平)、サンコーテクノ株式会社(社長:洞下英人)の3社は、保有技術の高性能接合部材『ディスクシアキー』を用いた内側耐震補強用の接合工法【補足説明1】の適用範囲を拡大いたしました。耐震補強が困難であった低いコンクリート強度や軽量コンクリートの建築物に対応できるようにし、平成24年3月に(社)建築研究振興協会より技術性能評価(BRP−R1103020−0ST)を取得いたしました。
<ディスクシアキーを用いた内側耐震補強用の接合工法の適用範囲>
下線太字部が今回追加された適用範囲です。その他は既に取得しているものです。
■既存躯体のコンクリート種類 : 軽量コンクリート、および普通コンクリート
■既存躯体のコンクリート強度 : 9.0N/mm2以上(普通コンクリート)
13.5N/mm2以上(軽量コンクリート)
■補強部材の種類 : RC造補強壁、および鉄骨枠付き補強架構(鉄骨ブレースおよび制震ブレース)
■部材の配置方法 : 千鳥配置、およびシングル配置
■補強部材の位置 : 構面内(内側補強)
■被補強建築物の構造形式 : RC造およびSRC造
■部材の埋め込み深さ : 90mm以上(標準)、60mm以上(最短)
建築物と補強部材との接合には、一般的に“あと施工アンカー”が用いられます。建築物の耐震補強で一般的に適用される既往の耐震改修用設計指針【補足説明2】では、あと施工アンカーを適用する場合の建築物のコンクリート強度は13.5N/mm2以上とされていますが、耐震補強が必要な建築物の中には、コンクリート強度がそれを下回るものが存在し、その都度、個別に性能評価を行う必要がありました。また、軽量コンクリートに対しては、深い埋め込み深さが要求され、かぶり厚さに制約のある建築物の耐震補強には、低強度コンクリートと同様の時間と労力を要しました。
本工法は、ディスクシアキーの高い性能を利用し、普通コンクリートでは9.0N/mm2のコンクリート強度から使用出来るようにしました。また、軽量コンクリートに対してもコンクリート強度が13.5N/mm2以上であれば普通コンクリートと同じく、短い埋め込み深さでの適用を可能としました。
このように、本工法は耐震改修用設計指針の適用範囲外の“耐震補強が困難な建築物”の耐震補強に大きく貢献することが期待されます。
※写真1は添付の関連資料を参照
<ディスクシアキーを用いた内側耐震補強用の接合工法の特徴>
内側耐震補強とは、建築物(既存躯体)の柱・梁の内側に、制震ブレースや補強壁等の補強部材を設置するものです。ディスクシアキーを既存躯体に施工し、制震ブレースであれば間接接合、補強壁であれば直接接合により、補強部材と既存躯体の一体化を行います。低強度コンクリートと軽量コンクリートへの適用力向上により、ほぼ全ての建築物の内側耐震補強に幅広く適用することが可能となりました。
・補強建物の構造形式を限定しません
RC造およびSRC造の両方の構造形式に適用することができます。
・複数の補強部材に適用できます
鉄骨枠付き補強架構であれば、トグル制震構法のような制震ブレースの他、強度型の鉄骨ブレースも適用できます。
また、RC造の補強壁にも適用可能です。
・低いコンクリート強度の躯体にも適用できます
普通コンクリートでは9.0N/mm2、軽量コンクリートでは13.5N/mm2から適用することができます。
・コンクリート種別を問わず、従来工法に比べ短い埋め込み深さから適用できます
埋め込み深さは標準で90mm、最短で60mmから適用できます。SRC造のような埋め込み深さが制限される建築物に有効です。
軽量コンクリートに対しても、この埋め込み深さが適用されます。
・建物を使用されている方に配慮した施工が可能です
穿孔作業に湿式コアドリルを使用することにより、ハンマードリルを用いる従来工法に比べて最大で30dBの
騒音低減が可能です。また接合部材の接合耐力が高いため、施工数量の低減による工事騒音低減が可能です。
・目あらし作業が不要です
接合耐力が高いため、従来工法では必要な目あらし作業が不要です。施工騒音の低減や施工費のコストダウンにつながります。
※図1、2、写真2、3は添付の関連資料を参照
<今後の展開>
今後、本工法を耐震補強が困難な建築物を含む様々な建築物の耐震補強に積極的に提案し、建築物の耐震性能向上に役立てていく予定です。
<その他>
ディスクシアキーは、飛島建設株式会社、株式会社大本組、サンコーテクノ株式会社の3社共同で特許出願中です。
※補足説明1、2と参考資料は添付の関連資料を参照