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東京商工リサーチ、2012年3月期決算の上場企業「継続企業の前提に関する注記」調査結果を発表

2012-06-13

〔特別記事〕
2012年3月期決算 上場企業「継続企業の前提に関する注記」調査
〜GC注記、重要事象の記載はピーク時の6割に減少〜



 2012年3月期本決算の全上場企業2,504社のうち、監査法人から「継続企業の前提に関する注記」(ゴーイングコンサーン注記、以下GC注記)が付いた企業は41社だった。前年度本決算(2011年3月期、50社)より9社、前中間期(2011年9月中間期、42社)から1社、それぞれ減少した。
 GC注記に至らないが、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在する場合に明記する「継続企業に関する重要事象」(以下、「重要事象」)の記載があったのは45社で、前年度本決算(57社)より12社減少、前中間期(53社)から8社減少した。
 GC注記企業と重要事象を記載した企業の合計はリーマン・ショック時の145社(2009年3月期)から約6割に減少、上場企業の倒産減とともに減少推移をたどっている。
※本調査は3月期決算の東証、大証から新興市場まで上場企業を対象に、2012年3月期決算短信で「GC注記」及び「重要事象」が付いた企業の内容、業種を分析した。(決算未発表分は除く)


<GC注記 中間決算時より1社減の41社>
 2012年3月期決算でGC注記が付いた上場企業は41社で、前年度本決算の注記企業50社から9社減少、前中間期42社から1社減少した。前中間期と比較すると6社が注記の解消に至ったが、2社(RHインシグノ、カラカミ観光)は上場廃止となり、1社(NISグループ)が倒産した。また、福島第一原発の廃炉費用や原発全停止によるコスト負担増で2期連続の大幅赤字となった東京電力は前年度本決算以来、継続してGC注記が付いている。
 中間決算まではGC注記がなかったが、本決算で新たに注記が付いた企業は7社だった。7社のうち3社(中山製鋼所、桂川電機、ひまわりホールディングス)は、前中間期は重要事象の記載にとどまっていたが、本決算ではGC注記となった。エルピーダメモリ(2月、会社更生法申請)の持分法適用会社で、半導体製造のテスト業務を受託するテラプローブ(マザーズ)は「エルピーダメモリの将来に関する不確実性を完全に排除することは困難」として初めてGC注記が付いた。

 GC注記企業数は2008年9月中間期決算では123社だったが、2009年3月期から記載ルールが変更され、GCと重要事象の2段階での開示となった。ルール変更に伴いGC注記企業は大幅に減少したものの、重要事象の記載企業と合算すると2009年3月期は145社にのぼった。以降はGC注記、重要事象ともに減少推移を辿り、2012年本決算では86社(GC注記41社、重要事象45社)とピーク時の約6割に減少した。


 *グラフ資料など1は添付の関連資料を参照


<GC注記企業 約8割が本業不振>
 GC注記が付いた41社のうち、32社(構成比78.0%)が「重要・継続的な売上減」、「損失計上」、「営業キャッシュ・フローのマイナス」など本業面での業績不振を理由としている。次いで「債務超過に転落」が9社(同21.9%)、「資金繰り悪化や資金調達難(可能性ありも含む)」6社(同14.6%)、「金融機関や取引先などに債務の返済条件変更やその可能性がある」、もしくは、すでに「支払延滞が発生している」企業が6社(同14.6%)と続く。
 本業不振による売上減で赤字体質から脱却できない上場企業にGC注記が継続的に付くケースが目立つ。また、債務超過に転落した企業は前年度決算5社(構成比10.0%)から9社(同21.9%)へと増加した。債務超過は上場廃止基準の1つで、原則1年以内に解消しなければ上場廃止となる。GC注記の企業数は全体としては減少傾向だが、経営改善を達成しGC注記が解消する企業と、より深刻な経営状況に陥る企業との二極化が鮮明になっている。
※注記理由は重複記載のため構成比合計は100%を超える

<業種別 製造業が最多 不動産業は減少>
 GC注記が付いた41社の業種別内訳は、最多が製造業15社(構成比36.6%)だった。円高や欧米市場の鈍化、海外メーカーの台頭など製造業を取り巻く厳しい経営環境を反映した。次いで、サービス業8社(同19.5%)、情報・通信業5社(同12.2%)、卸売業4社(同9.8%)の順。不動産業はリーマン・ショック直後の12社(2009年3月期)から、破綻や不動産市況の回復などで減少し、2社(同4.9%)にとどまった。


 *グラフ資料など2は添付の関連資料を参照


<2012年上場企業倒産 3社全てにGC注記>
 2012年1月−5月に倒産した上場企業3社(エルピーダメモリ、山水電気、NISグループ)はすべて、直近の四半期決算にGC注記が付いていた。上場企業の倒産件数は2008年の33社をピークに2009年20社、2010年10社、2011年4社と減少傾向にある。倒産減に呼応するかたちでGC注記及び重要事象の企業数は減少している。
 一方で、倒産に至った上場企業のほぼすべてにGC注記が付いた。債務超過や支払債務を延期している不振企業の存在は無視できず、今後もGC注記や重要事象の記載状況には引き続き注目が集まる。


 *表資料1は添付の関連資料を参照

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