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リオン、耳漏や外耳道閉鎖症の難聴者でも使用できる軟骨伝導補聴器の開発に成功
〜耳漏や外耳道閉鎖症の難聴者でも使用できる新たなスタイルの補聴器〜
世界初(※1)の軟骨伝導補聴器の開発に成功
国内補聴器メーカーの大手であるリオン株式会社(社長:井上清恆、本社:東京都国分寺市、資本金:12億円、東証1部 コード:6823)では、世界初(※1)の軟骨伝導補聴器(※2)の開発に成功しました。この開発は、奈良県立医科大学耳鼻咽喉・頭頸部外科の細井裕司教授との共同研究により実現したものです。(※3)
※1:軟骨伝導補聴器の開発について。2012年5月31日現在。当社調べ
※2:薬事未承認品です。販売・授与はしておりません。
※3:本件は、本年5月10日から開催された第113回日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会にて、細井教授が報告しています。
<軟骨伝導補聴器の概要>
通常の補聴器のイヤホンの代わりに振動子を使用します。外耳道内または外耳道入口部の軟骨部に振動子を装用し、軟骨部の振動と振動子からの音を利用して、増幅した音を耳に伝えます。通常の補聴器の技術やデザインをそのまま利用できます。
○主な特長
・装着は通常の耳かけ型補聴器と変わらずイヤホン感覚で簡単です。
・耳装用部の振動子は耳垢詰まりもなく洗浄が可能です。
・振動子中央に孔があるため、外耳道を塞ぎません。(音のこもり感のないオープンタイプの補聴器としても使用可能です。)
・電池寿命は約120時間(右試作品の場合、使用電池:空気電池PR−41)。
○振動子の開発
「現在のデジタル補聴器で駆動可能」、「高出力・低消費電力」、「外耳道を塞がない」、「汚れても洗える」などの特長を備えた振動子を開発しました。
<軟骨伝導補聴器の開発背景>
耳漏がある難聴者や外耳道閉鎖症の難聴者は、通常の気導補聴器を使用できないため、骨導補聴器やBAHA(※4)を使用しています。骨導補聴器はヘッドバンドなどを使用して振動子を耳の後ろの乳突部に押し当てるため、装用時に圧迫感を伴います。BAHAは手術で頭蓋骨にボルトを埋め込む必要があり、ボルトが皮膚から露出しているため感染の恐れがあります。
その解決策として軟骨伝導補聴器を開発しました。
※4:BAHA(Bone Anchored Hearing Aid)。手術によって頭蓋骨にボルトを固定し、このボルトに振動子を取り付け、音声を骨伝導で伝える方法。
<今後の展開について>
耳漏や外耳道閉鎖症の難聴者などを対象に、有効性・適応性の検証・評価を行い、より実用的な軟骨伝導補聴器を開発していきます。さらに、将来的には次世代補聴器への応用も視野に入れ、さらなる研究・開発に取り組んでいきます。
※参考画像は、添付の関連資料を参照