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北陸先端科学技術大学院大、シリセンの構造と電子状態の関係を解明

2012-06-04

世界で初めてシリセンの構造と性質の関係を実験から解明
−グラフェンでは難しいバンドギャップの導入が可能−



 北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)(学長・片山 卓也、石川県能美市)マテリアルサイエンス研究科のアントワーヌ・フロランス助教、ライナー・フリードライン准教授、尾崎泰助准教授、高村由起子准教授らは、世界で初めて「シリセン(Silicene)」をシリコンウェハー上に作製し、その構造と電子状態との関係を解明することに成功しました。
 シリセンは、原子一層分の厚みしかない、究極に薄いケイ素(Si)の二次元的な結晶です。1994年に日本人研究者によってシリセンの安定な構造を理論的に研究した成果が発表されています。その後、炭素(C)の二次元結晶「グラフェン」に関する研究成果が2010年度のノーベル物理学賞を受賞するなど大きな注目を集め、そのSi版であるシリセンの研究が世界的に行われるようになりました。しかし、その構造と性質の関係を実験的に詳細に調べた例はありません。
 JAISTの研究チームは、今回、走査トンネル顕微鏡観察とフォトン・ファクトリー(高エネルギー加速器研究機構)における光電子分光測定などによる実験結果と第一原理計算による結果から、Siウェハー上のエピタキシャル二ホウ化ジルコニウム薄膜上にシリセンが自発的に形成されていることを発見しました。エレクトロニクス材料にはバンドギャップが不可欠ですが、半金属であるグラフェンではこれが難しく、大きな課題となっています。一方、今回作製したシリセンには、下地から付与された特異な構造により直接遷移型のバンドギャップが導入されていることが分かりました。
 今回の成果により、(1)大面積のシリセンを再現性良く作製できること、(2)エピタキシャル技術を利用してシリセンの電子構造を制御し、新しい材料を作製できること、が示されました。将来的には、シリセンを利用した高速デバイス、光デバイスなどの応用研究へ発展してゆくことが期待されます。
 本成果は、近日中にアメリカ物理学会の発行する「Physical Review Letters(フィジカル・レビュー・レターズ)」誌(インパクトファクター7.62)に掲載されます。
 なお、本研究は、大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構独立行政法人日本学術振興会最先端・次世代研究開発支援プログラム、科学研究費補助金の支援を受けて行われました。


 *以下、リリース詳細と参考図は添付の関連資料を参照

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