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メディネットなど、多発性骨髄腫対象のガンマ・デルタT細胞療法の共同臨床試験を開始
多発性骨髄腫を対象とした
ガンマ・デルタT細胞療法の多施設共同臨床試験を開始
株式会社メディネット(以下「メディネット」)は、多発性骨髄腫(i)を対象としたガンマ・デルタT細胞療法(ii)(以下、「γδT細胞療法」)の有効性評価を目的に、医療法人社団滉志会 瀬田クリニックグループ(以下、「瀬田クリニックグループ」)、日本赤十字社医療センター(以下「日赤医療センター」)、順天堂大学医学部附属 順天堂医院(以下「順天堂大学」)と共同で臨床試験を開始しました。
2005年より、メディネットは、既存治療とは異なる作用機序により根治を目指す治療法の開発を目指し、日赤医療センターと瀬田クリニックグループと共同で、多発性骨髄腫を対象としたγδT細胞療法の自主臨床研究(iii)を実施し、6例中4例で免疫グロブリン(Mタンパク)(iv)の減少または安定化を認めるなど、γδT細胞療法の安全性を既に確認しており、新たな治療法になりうると期待しています。
その研究結果を踏まえ、本多施設共同臨床試験では、骨髄腫細胞を根治する治療法の開発をさらに進めるべく、くすぶり型(v)や化学療法などで有効な結果が得られた多発性骨髄腫を対象に、γδT細胞療法の有効性を評価します。
本多施設共同臨床試験は、日赤医療センター血液内科 部長 鈴木 憲史医師および順天堂大学血液内科 主任教授 小松 則夫医師を研究責任医師として実施されます。共同臨床試験組織内では、瀬田クリニックグループが、免疫細胞の加工および免疫学的検査などを担い、メディネットが、免疫細胞の加工に係る基礎データの提供、免疫学的検査支援などを行います。また、本多施設共同臨床試験は、早期エビデンス構築に向けて、適切に臨床統計の専門家のアドバイスを受けながら開発を進めていきます。
なお、本件の業績に与える影響は軽微であります。
以上
i:多発性骨髄腫
多発性骨髄腫は、Bリンパ球から分化した形質細胞ががん化した血液がんの一種です。近年、サリドマイド、レナリドミド、ボルテゾミブといった新薬の登場により治療成績が向上していますが、現在のところ、骨髄腫細胞を根絶する治療法はなく、化学療法により寛解に達しても、寛解後の継続治療は持続効果がなく、残存した骨髄腫細胞によって寛解と再発を繰り返します。
サリドマイド
多発性骨髄腫に適応を有する経口剤。商品名はサレドカプセル
レナリドミド
多発性骨髄腫に適応を有する経口剤。商品名はレブラミドカプセル
ボルテゾミブ
多発性骨髄腫に適応を有する注射剤。商品名はベルケイド
寛解
病気の症状が、完全には治癒していないが、一時的あるいは継続的に軽減した状態。または見かけ上消失した状態。
ii:ガンマ・デルタT細胞療法(γδT細胞療法)
化学療法や放射線療法とは異なる作用機序により、これまで根治に至らなかった化学療法後に残存している微小がんを除去することで治癒することやQOL(Quality of Life:生活の質)を維持しつつ寛解時期を延長することが期待される治療法。多発性骨髄腫の予後改善に寄与する新たな治療法として期待されています。
iii:2005年12月7日プレスリリース
「メディネット、日赤医療センター及び新横浜メディカルクリニックと共同で活性化自己γδT細胞療法を用いた多発性骨髄腫に対する臨床研究を開始」
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=298182
iv:免疫グロブリン(Mタンパク)
多発性骨髄腫の診断、治療効果の判定基準とされる指標の一つ
v:くすぶり型
Mタンパク、骨髄中の骨髄腫細胞は高いが、通常の多発性骨髄腫でみられる臓器障害等がない骨髄腫。くすぶり型は通常の骨髄腫の治療対象とはなりませんが、くすぶり型と診断された後、中央値約2年で臓器障害がある骨髄腫に進展するため、新規治療法が求められています。
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