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ノバルティス、再発性多発性硬化症薬「ジレニア」の継続投与試験の新データを発表

2012-05-08

「ジレニア(R)」、継続投与試験における新しいデータを発表
再発性多発性硬化症患者さんに対する最長7年の治療成果が示される



●第III相の非盲検継続投与試験及び7年間の第II相継続投与試験の結果から、「ジレニア(R)」(一般名:フィンゴリモド)による治療を続けた患者さんにおいて、臨床的およびMRIのいずれの評価項目においても疾患活動性は低いまま持続することが確認された

●継続投与試験における「ジレニア」の安全性プロフィールは主要な臨床試験と一致

●2,400名以上の患者さんに「ジレニア」を投与したFIRST試験のデータでは、初回投与時の徐脈と心電導障害の発現率は概して低かった

●現在開発中の治験薬BAF312(siponimod)の後期第II相試験による新たな所見から、多発性硬化症患者さんにおいて良好な結果が示された


 2012年4月19日、スイス・バーゼル発−再発性の多発性硬化症(MS:multiple sclerosis)の経口治療薬として唯一承認されている「ジレニア(R)」(一般名:フィンゴリモド)の有効性と安全性プロフィールを裏付ける新たなデータが、第64回米国神経学会(AAN:American Academy of Neurology)年次会議(4月21日から28日まで開催)で発表される予定です(※1,※2)。また、ノバルティスのMS治療薬のポートフォリオの1つで、スフィンゴシン1−リン酸受容体(S1PR)サブタイプ1および5の選択的調節剤(S1P1、−5R調節剤)である治験薬BAF312(siponimod)の新たなデータについても発表されます(※3)。

 ノバルティスの医薬品事業部長であるデビッド・エプスタイン(David Epstein)は次のように述べています。「今回発表されるデータは、『ジレニア』の持続的な有効性および安全性に対するノバルティスの確信を更に裏付けるものです。また、MS治療薬の候補化合物である治験薬BAF312(siponimod)についても、前途有望なデータを発表できることを嬉しく思います。BAF312に関する臨床開発は、ノバルティスがMS患者さんのための新たな治療選択肢の拡大に深く取り組んでいることを示しています」


<「ジレニア」の長期的有効性および安全性プロフィールを示す新たなデータ>

 第III相FREEDOMS継続投与試験の新たな結果では、プラセボ(24カ月間の基本試験中に投与)から「ジレニア」(継続投与試験期間中に投与)に切り替えた患者さんにおいて、臨床的およびMRIに基づいた評価項目で有意な改善が認められました。2年間の二重盲検FREEDOMSの基本試験を完了した患者さん1,033名の90%が3年間の観察期間を完了し、45%が4年間の追跡調査期間完了後に包括的な追跡調査(LONGTERMS試験)に移行しました。継続投与試験でプラセボから「ジレニア」に切り替えられた患者さんでは、年間再発率(*)が、基本試験期間中に比べて55%低下しました(基本試験期間中の年間再発率=0.29;継続投与試験期間中の年間再発率=0.13;p<0.001)。無再発および3カ月間身体的障害の進行が認められなかった患者さんは、最初から「ジレニア」を継続投与した患者さん(「ジレニア」継続投与群)において、最初はプラセボに無作為割り付けされ、後に「ジレニア」に切り替えられた患者さん(プラセボからの切替え投与群)に比べ、有意に多く認められました。無再発のままであった患者さんの割合は「ジレニア」継続投与群で59%とプラセボからの切替え投与群で37%、3カ月間身体的障害の進行が認められなかった患者さんの割合は「ジレニア」継続投与群で74%とプラセボからの切替え投与群で66%でした。MRI評価指標でも「ジレニア」の治療を支持する有意な効果の持続が認められ、試験終了時のMRIに基づく脳萎縮率においても、「ジレニア」継続投与群で、プラセボからの切替え投与群に比べ、有意な抑制が認められました(脳容積の平均変化率(%):「ジレニア」継続投与群で−1.67% vs. プラセボからの切替え投与群で−2.24% p=0.001)1。FREEDOMSの基本試験における投与2年後時点(0〜24カ月)での脳萎縮率は、「ジレニア」投与を受けた患者さんでは、プラセボ群に比べて38%抑制されていました(※4)。

 第III相FREEDOMS試験の継続投与試験における「ジレニア」の安全性プロフィールは、主要な第III相試験と一致していました1。最も多く見られた有害事象は、鼻咽頭炎、リンパ球減少(本剤の作用機序から予測されていた)、上気道感染症およびインフルエンザでした(※4,※5)。

 スイス バーゼル大学神経学科のルドヴィグ・カッポス教授(Ludwig Kappos, Department of Neurology, University of Basel, Switzerland)は次のように述べています。「この継続投与試験のデータは、公表済みの第III相臨床試験で証明された『ジレニア』の有効性をさらに裏付けるものであり、継続的な治療がポジティブな長期的効果をもたらすことを立証しています。また、長期安全性プロフィールも良好で、第III相臨床試験の結果と一致していました。これらの多くの患者さんを対象とした4年以上の観察結果は、フィンゴリモドが再発寛解型MS患者さんにとって価値のある治療選択肢であることを示しています」

 第II相継続投与試験において、最長7年間投与した結果得られた新たなデータによると、「ジレニア」投与を受けた患者さん(122名)では、MRIならびに臨床的な疾患活動性も低いまま維持されていました(※2)。「ジレニア」継続投与群全体での年間再発率は0.16で、これは6年に1回の再発頻度に相当します。試験開始当初より長期継続投与試験完了時まで「ジレニア」投与を受けた患者さんの半数以上が、試験期間を通して無再発の状態を維持しました(※2)。

 「ジレニア」の第III相臨床試験プログラムは、2年間のFREEDOMS試験と、MS治療薬として一般的に広く処方されているアボネックス(R)(インターフェロンβ−1aの筋肉内注射)(**)と「ジレニア」の1年間の直接比較試験(TRANSFORMS試験)で構成されています。TRANSFORMS試験では、投与開始から1年後の年間再発率(主要評価項目)は、「ジレニア」投与を受けた患者さんでアボネックスと比較して52%相対的に低下しました(※5)。


<対象患者2,400名のFIRST試験において、治療開始時のECG異常及び症候性の心拍数低下の発現率は低かった>

 4カ月間の大規模な非盲検・単群・多施設共同試験(FIRST試験)では、「ジレニア」初回投与時の著しい徐脈および投与開始時の心電導障害の発現率は、概して低いことが示されました[45bpm未満の徐脈の発現率は1.3%、30bpm未満の心拍数の発現例はなし](※6)。重要なことは、この試験では、心拍数及び心電図の異常を検出するために、初回投与後6時間は携帯型ホルターECG(心電計)を用いて継続的に心電図モニタリングを実施したことです。2,400名以上の患者さんを対象とした試験における投与開始後6時間のホルター心電計による継続的な心電図モニタリングの結果から、モビッツI型第2度房室ブロック発現率は1.4%、モビッツII型第2度あるいは2:1房室ブロックの発現率は0.5%でした。FIRST試験における「ジレニア」の短期的安全性プロフィールは、第III相臨床試験で認められた安全性プロフィールと概ね一致し、既知のフィンゴリモド投与開始時の心臓への影響(典型的には一過性の心拍数低下、通常は無症候性の房室伝導ブロック)の発現率も今までと同様に低いものでした。


<BAF312(siponimod)の良好な後期第II相試験データ>

 ノバルティスは、再発寛解型MS患者さんを対象として実施したS1P受容体サブタイプ1および5の選択的調節剤(S1P1、5−R調節剤)である治験薬BAF312(siponimod)の第II相用量設定試験の主要な結果も発表します。このプラセボ対照二重盲検試験では、用量反応関係を最も適切に描くために、画期的なアダプティブデザインを採用し、統計的に有意な用量反応関係を確立することができました。更にこの試験では、BAF312投与群で、MRIにより測定した脳病変が、プラセボに比べて最大80%減少しました(※3)。また、BAF312投与群では再発はまれで、年間再発率の低下が認められました(年間再発率:BAF312 2mg群0.20、プラセボ群0.58;p=0.044)。またBAF312は、投与開始時に漸増投与期を設けることにより、忍容性は概ね良好であることが示されました。最も多く見られた有害事象は、頭痛、徐脈、浮動性めまいおよび鼻咽頭炎でした(※3)。第III相MS臨床試験プログラムは、今年中に開始される予定です。


<「ジレニア(R)」(一般名:フィンゴリモド)について>

 田辺三菱製薬株式会社から導入した「ジレニア」は、スフィンゴシン1−リン酸受容体(S1PR)調整剤と呼ばれる新しいクラスの初めての薬剤です。「ジレニア」は、広く処方されている標準治療薬であるアボネックスよりも優れた有効性を示し、再発寛解型MS(RRMS)患者さんを対象とした直接比較試験(TRANSFORMS試験)で、フィンゴリモド0.5mgが対照群のアボネックスに対して治療開始後1年時点での年間再発率(主要評価項目)を52%、脳萎縮率(二次的評価項目)を40%低下させました(※4)。最新のサブ解析では、インターフェロン治療に不応となった疾患活動性の高いRRMS患者さんのサブグループにおいて、「ジレニア」は、インターフェロンβ−1a(筋肉内注射)と比較して、治療開始後1年の時点での年間再発率を61%低下させました(※7)。

 「ジレニア」は、有効性の高い1日1回の経口MS治療薬です。臨床試験での忍容性は概ね良好であり管理可能な安全性プロフィールを示しました。また、約36,000名の患者さんが臨床試験や市販薬による治療を受けられており(※8)、「ジレニア」の長期的な有効性と安全性の経験が蓄積されつつあります。現在までに、約34,000患者年の使用実績があります。臨床試験において多く見られた副作用は、頭痛、肝酵素上昇、インフルエンザ、下痢、腰痛、および咳でした。「ジレニア」に関連したその他の副作用は、治療開始時の一過性で通常無症候性の心拍数低下や房室伝導ブロック、軽度の血圧上昇、黄斑浮腫、および軽度の気管支収縮でした(※4,※5)。

 全般的な感染症の発現頻度は、重篤な感染症も含め、対照群を含む治療群間で大きな違いは認められませんでした。ただし、「ジレニア」の治療を受けた患者さんでは、気道感染(主として気管支炎)が僅かに多く見られました。臨床試験プログラム全体における悪性腫瘍の報告数は少なく、「ジレニア」群と対照群で大きな違いは認められませんでした(※4,※5)。

 * 年間再発率:1年間あたりの再発頻度
 ** アボネックス(R)はバイオジェン・アイデック社の登録商標です。


※参考資料などは、添付の関連資料を参照

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