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竹中工務店、建物で業務を続けながら液状化対策工事ができる工法を開発
「江東区役所本庁舎」で居ながらできる液状化対策
「コンパクト・ジオラティス工法」適用
竹中工務店(社長:竹中統一)は、液状化対策技術(※)「TOFT工法(R)」のノウハウを活かし、建物利用者が通常の業務を行いながら液状化対策工事が可能な「コンパクト・ジオラティス工法」を開発し、「江東区役所本庁舎」において初適用しました。お客様が通常通りに業務を行いながら、格子状地盤改良による液状化対策工事を実施するのは業界で初めてです。
通常の「TOFT工法」を用いた場合、約30mの大型掘削機で地面を掘り進める必要がありましたが、本技術では高さ2m程度の小型掘削機を使用するため、建物に影響を与えることなく掘削を進めることが可能です。
工事は、駐車場やピロティーになっている建物1階の床上部分から軟弱な砂層(地面から3m〜12m下の部分=GL−3m〜−12m)にセメントを混ぜ入れて長さ9mの円柱状の改良土柱を構築します。270本の改良土柱を連続的に一部ラップ施工させることで、図の緑の線で示す格子状改良壁を作成します。これまでに当社で40件以上の実績がある「TOFT工法」のノウハウを活かして、事前に実施した詳細な地盤調査や地震応答解析結果に基づき最適な改良壁の配置を決定し、工事を実施します。
【「居ながらできる格子状地盤改良工事」概要】
◇メリット
・建物を移設して液状化対策を行なうよりも大幅に工費を削減可能。
・通常1mである改良径を2.3m(一部3.2m)とし、床にあける穴の数を必要最小限とした。
・天井高が約3〜4mの工事エリアでも小型機械により工事可能。
◇格子状地盤改良工事概要
駐車場やピロティーになっている建物1階部分を複数のエリアに分け、(1)から(3)のステップで工事を実施。これにより、駐車場の機能を残しながら工事を実施することが可能です。
〔複数のエリアに分け、順番に地中に地盤改良壁を構築/改良土柱の構築法〕
*画像は添付の関連資料「参考画像」を参照
<工事手順>
(1)機械設置:工事範囲に仮囲いを設置後、天井高が約3〜4mの1階駐車場部分で施工可能な小型の掘削機械を設置します。
(2)掘削・固化:床に直径200mmの穴をあけ、噴射装置を持ったロッドで地盤を掘削し、セメントを注入し地盤を固化させて直径2.3m(一部3.2m)の改良土柱をつくります。
(3)改良体配置:建物の外周と事前に検証した最適な位置に、俯瞰で見た場合格子状になるよう(2)の柱を連続して配置させます。
【「江東区役所本庁舎」建物概要】
「江東区役所本庁舎」(1973年建設)は地震発生時に江東区災害対策本部が設置されるなど、災害発生時には中核的な役割を担います。液状化の被害を受けることなく、確実に建物が倒壊しないように対策をする必要がありました。
*建物画像は添付の関連資料を参照
工事名称:江東区庁舎耐震補強その他工事
建築地:江東区東陽 4−11−28
建物用途:庁舎
耐震補強工事設計・施工:竹中工務店
工期予定:2011年11月〜2013年3月末
※「TOFT工法」について
液状化対象エリアに格子状に区画された地盤改良を平面的に配置することによって、格子内地盤を液状化しないようにする技術。阪神・淡路大震災時には「神戸メリケンパークオリエンタルホテル」で効果実証。