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富士経済、主要エネルギーデバイスの製造設備・装置の世界市場調査結果を発表
二次電池、太陽電池、燃料電池の製造設備・装置
主要エネルギーデバイス製造設備・装置の世界市場を調査
―2015年予測―
製造装置市場は2009年比3.9倍の1兆4,529億円
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 阿部 界 03−3664−5811)は、主要エネルギーデバイスの製造設備・装置の世界市場を調査した。その結果を報告書「エネルギーデバイス製造設備・装置市場実態総調査 2010」にまとめた。
この報告書では、二次電池はリチウムイオン二次電池(以下LIB)、電気二重層キャパシタ、太陽電池は結晶シリコン型太陽電池、薄膜シリコン型太陽電池、CI(G)S型太陽電池、色素増感型太陽電池、燃料電池はPEFC(固体高分子形燃料電池)、SOFC(固体酸化物形燃料電池)を対象とし、これらエネルギーデバイスの製造設備・装置市場の現状と今後を予測した。また、エネルギーデバイスメーカー30社とエネルギーデバイス製造装置メーカー50社の取り組み事例を分析した。
<調査結果の概要>
◆新規設備投資額と製造装置の世界市場◆
2010年見込 2015年予測 2009年比
新規設備投資額 1兆6,780億円 2兆9,370億円 277.0%
製造装置 5,431億円 1兆4,529億円 385.7%
注:新規設備投資額は新設・増設(土地、建屋、装置等含む)、製造装置市場は新設・増設、更新を対象としている。
対象とした主要エネルギーデバイスの新規設備投資額と製造装置市場は、2010年に前年比58%増の1兆6,780億円、同44%増の5,431億円が見込まれる。2015年には新規設備投資額が2兆9,370億円、製造装置市場が1兆4,529億円と予測される。
■二次電池製造装置
2010年見込 1,199億円 2015年予測 1,733億円(2009年比 197.4%)
二次電池の新規設備投資は、2009年以降、国内、海外共に車載用LIBの製造設備・装置に集中している。電気自動車(EV)が発売され、本格的な販売が進められていることから車載用LIBの生産体制が増強されている。特に日本、韓国、米国、中国でLIBの設備投資が盛んに行われている。日本の自動車メーカーは日本メーカーのLIB、海外の自動車メーカーは日本や韓国、米国、中国メーカーのLIBを採用している。反対に、携帯電話やPC、電動工具用等、車載用以外のLIBの市場は拡大しているものの、設備投資は車載用と比較すると消極的である。海外では成長著しい韓国メーカーが設備投資を行っているが、国内ではこれまでに整えた生産設備能力が十分に確保されているため設備投資は少なく、装置のリプレース需要が主となっている。
電気二重層キャパシタは、アプリケーション開拓が進まずデバイス需要自体が伸び悩んでいるため、設備投資も当面控えられる。
■太陽電池製造装置
2010年見込 4,191億円 2015年予測 1兆2,550億円(2009年比 440.7%)
結晶シリコン型太陽電池は、スペインで補助制度が打ち切られたことにより2009年初頭の需要が落ち込んだが、シリコン価格下落による低価格化や、ドイツと米国の需要拡大によって、通年では当初予想されていたほどの大幅な落ち込みがなかった。シリコン価格は上昇傾向にあるが、今後も需要は堅調に伸びると予想され積極的な投資が行われている。
薄膜シリコン型太陽電池は結晶シリコン型太陽電池とのコスト比較で2009年に大きく落ち込んだが、期待は依然として強く、結晶シリコン型太陽電池ほどではないものの設備能力の増強が進むと見られる。
CI(G)S型太陽電池は2010年以降生産性が向上し、市場への供給が急激に拡大すると見られる。設備投資も大幅な拡大が予測される。
色素増感型太陽電池は2015年までは他の太陽電池と競合するレベルに至らないと見られる。
■燃料電池製造装置
2010年見込 41億円 2015年予測 246億円(2009年比 600.0%)
PEFCが先行して市販されており、燃料電池車(FCV)用の商用化も計画されていることから、デバイス市場と共に製造装置市場の拡大が期待される。FCVの商用化は世界の大手自動車メーカーが2015年前後の展開を計画し、エネルギー関連企業はそのタイミングにあわせたインフラ整備を進めている。
一方、SOFCは家庭用、業務用、産業用とも現在実証研究が行われている。家庭用SOFCについては2011年以降に市販化の動きがあるものの、当面生産台数が限られるため設備投資も限定的と見られる。但し、普及拡大を意識した開発中の市販機種は発電効率に優れ、PEFCより低価格で販売する姿勢がメーカーによって示されており、デバイス市場が大きく拡大する可能性がある。
<注目デバイスの製造装置世界市場>
1.車載用LIB製造装置
2010年見込 2015年予測 2009年比
731億円 804億円 197.5%
2009年の市場は407億円、2010年にはEVの販売が本格化したことから需要が急増しており、前年比80%増の731億円が見込まれる。その後一時的に設備投資は落ち着くが、EVの新車種発売やHEVへの搭載も進むと見られるため、2013〜2015年頃より積極的な生産設備の増強が行われると予想される。
LIBの製造装置はほとんどが特機(※1)、内作(※2)であるため、ユーザーが要求する仕様の装置をいかに提供できるかが装置メーカーに問われる。民生用のLIB製造装置では高速化が追求されるが、車載用のLIB製造装置では高品質で安全性の高い製品作りが最優先される。また、車載用は民生用と比較してセルサイズが大きくなるため装置の規模が大きくなる。そのため民生用よりも装置価格が高くなる。製造装置はコストよりも高品質で安全性の高い製品作りや、装置メーカーの電池製造実績が重視されており、海外の電池メーカーであっても信頼できる日本の装置メーカーの製造装置の導入を検討している。
※1:ユーザーが設計、開発を行い、外部で製作される機器・装置
※2:ユーザーが社内で開発・設計・製作する機器・装置
2.結晶シリコン型太陽電池製造装置
2010年見込 2015年予測 2009年比
2,874億円 7,578億円 360.9%
2009年の市場は2,100億円、2010年は前年比37%増の2,874億円が見込まれる。結晶シリコン型太陽電池の製造方法や販売網が確立していることや、また、シリコンの価格低下で薄膜シリコン型太陽電池のメリットが希薄になっていることもあり、今後も市場は順調に拡大すると予測される。
製造装置ではターンキー・ソリューション(すぐに利用できる特定用途向けシステム)の展開が見られ、一定のスペックを有する汎用装置が市場に広がっている。中でもワイヤーソーや鋳造装置といった基板形成の工程の装置や、エッチング装置への広がりが比較的大きい。
これまでこの市場を牽引してきたのはデバイスと同様に、日本と欧州の装置メーカーである。しかし、中国・台湾を始めとするアジアのメーカーが技術的知識を蓄積しつつあり、今後は装置の価格を押し下げていくと見られる。また、米国では再生可能エネルギーが徐々に注目を集めており、近年存在感を増している米国デバイスメーカーへの供給が重要になってくる。
3.PEFC製造装置
2010年見込 2015年予測 2009年比
41億円 206億円 502.4%
2009年の市場は41億円で、2010年も横ばいと見込まれる。PEFCは家庭用燃料電池「エネファーム」として2009年より市販されている。社会的なエコに対する関心の高まりと行政の助成制度による今後の需要拡大を見据え、ENEOSセルテック(JX日鉱日石エネルギーと三洋電機によって設立)が2010年度に年産能力1万台の本社工場を立ち上げた他、パナソニック、東芝燃料電池システムも同様に量産体制を整えており、各社とも2015年までに徐々に生産能力を拡大させる方向にある。FCVはトヨタ自動車やGMといった大手自動車メーカーが2015年を量産開始時期としており、インフラ面の整備等がエネルギー会社を中心に進められている。FCVは消費者が購入可能なレベルにまで価格を落とす必要があるため、量産化に合わせて量産技術や量産体制の確立が急がれている。
以上
<調査対象>
※添付の関連資料を参照
<調査方法>
富士経済専門調査員による参入メーカー及び関連企業・団体等へのヒアリング調査及び関連文献、社内データベースを併用
<調査期間>
2010年6月〜9月
資料タイトル:「エネルギーデバイス製造設備・装置市場実態総調査 2010」
体 裁 :A4判 271頁
価 格 :97,000円(税込み101,850円)
調査・編集 :富士経済 大阪マーケティング本部 第一事業部
TEL:06−6228−2020 FAX:06−6228−2030
発 行 所 :株式会社 富士経済
〒103−0001東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 F・Kビル
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