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新日本科学、偏頭痛治療薬「ゾルミトリプタン経鼻剤」の臨床第I相試験成績を発表
ゾルミトリプタン経鼻剤(偏頭痛治療薬)の臨床第I相試験成績に関するお知らせ
当社が米国で開発中の偏頭痛(*1)の治療薬であるゾルミトリプタン経鼻剤(開発コード;TRZ)について、この度、初回の臨床第I相試験を完了しましたので、その成績をお知らせいたします。
【要約】
健康成人男女16名を対象に、休薬期間を置きながら、TRZを3用量(0.75, 1.5及び3.0mg)、市販のゾルミトリプタン錠剤(5mg)及び市販のゾルミトリプタン点鼻液(5mg)をそれぞれ単回投与したときの忍容性及び薬物動態を評価した結果、以下の成績が得られました。
1.TRZは、投与直後から速やかに血中ゾルミトリプタン濃度が上昇し、投与後20分以内に最高血中濃度(Cmax(*2))に到達しました。一方で、市販のゾルミトリプタン錠剤あるいは点鼻液では、投与後120分でCmaxに到達しました(図を参照)。
2.市販のゾルミトリプタン錠剤あるいは点鼻液に対するTRZ(3mg)の相対的バイオアベイラビリティ(*3)は、それぞれ136%と182%であり、いずれの市販製剤に比べてゾルミトリプタンの高い吸収性が確認されました。
3.TRZのCmax及び血中濃度曲線下面積(AUC(*4))は、用量依存的に増加し、安定した吸収性が確認されました。(図を参照)
4.健常成人におけるTRZの忍容性が確認されました。
以上、TRZにおける本臨床試験データは、先に実施したグラニセトロン経鼻剤(開発コード;TRG)の臨床試験実績と併せて、弊社で独自開発した経鼻投与基盤技術(μco(TM) system(*5))が種々の薬物に対して幅広く応用できることを実証するものであります。これらの結果により、μco(TM) systemを利用することで製品ライフサイクルマネジメント(*6)戦略に貢献できる機会が高まると期待されます。
なお、今回の通知により、当社の今期業績にはただちに影響はありません。
図:健常成人にTRZ及び市販ゾルミトリプタン製品を投与した後の平均血中ゾルミトリプタン濃度推移(左)とTRZ投与後の平均Cmax及び平均AUCinfと投与量の関係(右)
※添付の関連資料「参考画像」を参照
以上
【備考】
*1 偏頭痛;頭の片側からこめかみにかけて脈打つように「ずきずき」、「がんがん」と痛み、ひどいときには日常生活が妨げられるほどの痛みがあり、時には吐き気を伴うこともあります。米国では全人口の10%に相当する約2,800万人が、日本では約840万人がそれぞれ偏頭痛に苦しんでおります。患者さんは、働き盛りの20歳〜40歳代の若い年齢層に多いことが特徴で、日常生活の中で、いつ強い頭痛が起きるか不安を持っており、偏頭痛を速やかに緩和させる製剤を強く望まれております。
*2 Cmax;最高血中濃度。薬物投与後の血中の薬物濃度の極大値。
*3 相対的バイオアベイラビリティ;同一の投与量で試験製剤と対照製剤を投与したとき、対照製剤の投与後に全身循環に到達した薬物の量に対する、試験製剤の投与後に全身循環に到達した薬物の量の割合。
*4 AUC;Area under the blood concentration time curve(血中濃度曲線下面積)。体内に取り込まれた薬の量を示す指標。
*5 μco(TM) system;当社が独自開発した経鼻製剤技術と経鼻投与デバイスから成る経鼻投与システム。
*6 製品ライフサイクルマネジメント;医薬品の製品寿命を考慮しつつ、当該医薬品がもたらす総売り上げを最大化するような戦略を立て、実行すること。