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富士通研究所、コンテナデータセンター向け省電力システム制御技術を開発

2012-04-10

コンテナデータセンター向けにサーバと空調システムを連携させた省電力システム制御技術を開発
内蔵ファンを持たないサーバを採用し、総消費電力を最大約40%削減


 株式会社富士通研究所(注1)は、コンテナデータセンターの総消費電力を削減する、サーバと空調システムを連携させた省電力システム制御技術を開発しました。

 コンテナデータセンターの総消費電力の削減には、外気利用などによる空調設備の省電力化とともに、IT機器の省電力化のために内蔵ファンを持たないサーバの採用が効果的です。しかし、これまでの空調制御では、コンテナ内の空調システムとサーバが独立して制御されているため、内蔵ファンを持たないサーバの効率的な冷却が困難でした。今回開発したサーバと空調システムとが連携して動作する省電力システム制御技術を用いることにより、これまで利用できなかった内蔵ファンを持たないサーバの採用を可能とし、コンテナデータセンター全体の省電力化を実現しました。開発した技術を搭載したコンテナデータセンターを試作し、総消費電力の最大約40%を削減しました。


<開発の背景>
 クラウドコンピューティングの普及とともに、データセンター市場規模が増大し、その消費電力も増加していることから、データセンターの省電力化が重要な課題となっています。一方、増大するデータセンターのニーズに応えるべく、従来の大型データセンターに加え、初期投資が低く、短期構築、設備増設や搬送が容易、設置条件の自由度が高いなどの特徴を持つコンテナデータセンターの実用化が進んでいます。

 コンテナデータセンターの消費電力は、コンテナの空調設備の電力とサーバなどのIT機器の電力からなります。近年、空調設備については外気利用などによる省電力化が進んでおり、サーバを冷却する内蔵ファンの消費電力がコンテナデータセンターの総消費電力において大きな割合を占めてきています。さらなる消費電力の削減には、内蔵ファンを持たないサーバを採用し、大型で冷却効率の良いコンテナ空調ファンでの冷却が効果的です。


<課題>
 従来のコンテナデータセンターでは、サーバの温度情報とは独立してデータセンターの空調システムが動作しているため、サーバを過度に冷却して無駄な空調電力を消費したり、冷却不足でCPUの過熱防止機能により性能低下やサーバが停止してしまうなど、内蔵ファンを持たないサーバの採用は困難でした。


<開発した技術>
 今回、サーバ情報を使ってコンテナ空調ファンを制御する省電力システム制御技術を開発しました。開発した技術は以下の通りです。

1.CPU温度とサーバの消費電力情報をもとに、コンテナデータセンター全体の消費電力を最小にするコンテナ空調ファンの制御技術
 CPUの動作温度が高くなるに従い、リーク電流の影響によりサーバの消費電力は増大します。一方でCPU温度を下げようとするとコンテナ空調ファンの電力が増加するため、コンテナデータセンター全体の消費電力を最小とするCPU温度となるようにコンテナ空調ファンを制御します(図1)。

2.サーバのCPU温度とサーバの位置情報をもとに、CPU性能が低下し始める動作温度を超えないようにするコンテナ空調ファンの制御技術
 コンテナデータセンター全体の消費電力を最小にする制御では、局所的にCPU温度が上昇した場合、CPU性能が低下し始める動作温度に達する可能性があるため、CPU性能が低下し始める動作温度を超えないようにコンテナ空調ファンを制御します(図2)。

 ※図1、2は添付の関連資料を参照

 本技術により、内蔵ファンを持たないサーバの採用を可能とし、コンテナデータセンター全体の省電力化を実現しました。

 図3、4に試作したコンテナデータセンターの写真と内部構造を示します。外気が平温時(10℃〜35℃)は、コンテナ空調ファンで外気吸気口から挿入された空気がラック内部へ送り込まれ、ラック内で暖められた空気が排気口から排出されます。また外気が高温時(35℃以上)は、気化式冷却装置により外気を平温(35℃以下)まで冷やした上でファンに送り込みます。一方、外気が低温時(10℃以下)は、ラックから排出された暖気を、通気口(ダンパ)を通して吸気口に戻して、外気を平温(10℃以上)まで暖めた上でファンに送り込むよう動作します。

 ※図3、4は添付の関連資料を参照


<効果>
 本開発技術を適用したコンテナデータセンターで実験検証を行った結果、内蔵ファンを持ったサーバで構成された従来のコンテナデータセンターと比べて、最大約40%の消費電力の削減l効果を実証しました(図5)。

 また、CPU負荷の急激な増加による温度上昇で、CPUの性能低下、あるいはサーバ停止などのCPUの保護機能が働く場合も、CPUの温度上昇に追従して速やかにファンの回転数を上げて冷却することができ、サービスレベルの維持と低消費電力動作を両立させることが可能となります。

 ※図5は添付の関連資料を参照


<今後>
 2012年度の製品適用を目指し、今回試作したコンテナデータセンターを用いてさまざまな温湿度環境における実証実験を進めていきます。また、制御アルゴリズム最適化するとともに、提供サービスから予測されるサーバの計算負荷を先読みして最適な制御を行う予測制御技術など、先進的な省電力システム制御技術を開発していきます。


以上


<注釈>
 注1 株式会社富士通研究所:代表取締役社長 富田達夫、本社 神奈川県川崎市。

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