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ローム、内蔵するパワー半導体素子を全てSiCで構成したパワーモジュールの量産を開始
世界初!“フルSiC”パワーモジュールを量産開始(※1)
スイッチング損失を85%低減し、産業機器等の電力損失を大幅に削減
<要旨>
半導体メーカーのローム株式会社(本社:京都市)は、内蔵するパワー半導体素子を全てSiC(シリコンカーバイド:炭化ケイ素)で構成した“フルSiC”パワーモジュール(定格1200V/100A)の量産を開始します。
産業機器や太陽電池などで電力変換を担うインバータ、コンバータに組み込むことで、一般的なSi(シリコン)製のIGBTモジュールに比べて、下記のような優位点があり、世界のエネルギーや資源など地球環境問題にも大きく貢献します。
●スイッチング損失を85%低減。
●従来の400AクラスのSi−IGBTモジュールを置き換えた場合、体積を約50%削減
●低損失なため熱の発生が少なく、冷却装置も小さくすることができるので、機器全体の小型化が可能
本製品は、ローム本社工場(京都市)で3月下旬から量産・出荷する予定です。
*製品画像は添付の関連資料を参照
<背景>
近年、産業機器や太陽電池、電気自動車、鉄道などパワーエレクトロニクスの分野では、Siデバイスよりも電力変換時の損失が少なく、材料物性に優れたSiCデバイス/モジュールの実用化が切望されています。
従来のSi半導体を全てSiCに置き換えた場合の省エネ効果は日本国内だけで原発4基分(※2)に相当するとの試算も出ており、各社、研究開発を強化しています。こうした中、ロームでは、2010年に世界に先駆けてSiC−SBDやSiC−MOSFETといったSiCデバイスの量産に成功、業界をリードしてまいりました。
一方、搭載されるパワーデバイスを全てSiからSiCに変えた“フルSiC”パワーモジュールにおいては、長年世界中のメーカーで試作が進められてきましたが、信頼性の面で課題が多く、量産化には至っていませんでした。
▼発電から消費までに、送電や電力変換による多数の電力損失が発生
日本国内の年間総発電量=1兆kWh(1%の電力損失でも100億kWhのロス)
*参考図は添付の関連資料を参照
モーター制御と電力変換の効率化に大きく貢献する
SiCモジュールの量産が劇的な省エネ効果を生む
※1:ローム調べ(2012年3月22日現在)
※2:エンジニアリング振興協会調べ:2020年時点で日本国内主要分野でSiCパワーデバイスが導入された場合
(100万kW級原発1基=8.8TWh/年として試算)
*以下、「新製品の詳細」などリリースの詳細は添付の関連資料を参照