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花王、居住空間のカビに関する実態調査結果を発表

2010-11-20

居住空間のカビに関する実態調査
■3割を超える家庭で、カーテンにカビ発生を経験
■カーテンのカビの多くは、住環境の水まわりに多くみられるクラドスポリウム属(クロカビ)


 花王株式会社(社長・尾崎元規)ファブリック&ホームケア研究センターと生活者研究センターは、1日のうち長時間を過ごすリビング・寝室などの居住空間を中心に、カビに関する消費者の意識実態や発生しているカビの種類を調べました。

 首都圏在住の主婦213名を対象に、カビを気にしている箇所・カビが生えた経験・現在の状況について、アンケート調査をした結果、リビングや寝室のカーテンにカビが生えたことがある家庭は、全体の3割を超えていました。また、家庭から回収したカーテンのカビの種類を同定および定量したところ、カビの多くはクラドスポリウム(Cladosporium)属(クロカビ)で、多いものではカーテン10cm2当たり数十万個ものカビが認められました。このカビは、住環境に多く見られる種類です。お風呂などの水まわりによく見られる黒いカビの一種でもあり、また屋内空気中やハウスダストにも多く存在していることが知られています。

 約7割の家庭では、カーテンは半年以上洗濯されていないこと、対象のリビングや寝室の窓では結露を経験していることが多いことなどから、カーテンはカビの栄養(汚れ)および、水分(窓の結露)が豊富にあるカビの生えやすい環境であることが推測されました。
 また、対策として、カーテンに衣類・布製品用の除菌消臭スプレーを継続使用することによって、カビの生育を抑制できることが確認されました。

 本成果は、より快適な住環境づくりに役立てていきます。また、本結果は、第69回日本公衆衛生学会総会(2010年10月27日〜29日、東京国際フォーラム)で発表しました。


【研究背景】
 花王では、これまでにも家庭内に生息する微生物に関する調査・研究を行なってきました。カビについては、対象エリアとしてカビが生えやすいことが知られていた浴室などの水まわりを中心に調査を進めてきましたが、1日のうち長時間を過ごすリビング・寝室などの居住空間については詳細な調査をあまり実施していませんでした。しかし、近年、住宅の高気密化・高断熱化が進み、冷暖房の普及、換気時間の減少など、水まわり以外でもカビなどの微生物の生育が促進される懸念が高まっています。

 そこで今回、1日のうち長時間を過ごすリビング・寝室などの居住空間にあらためて着目し、消費者の意識実態や、特に目立つ箇所についてはカビの種類の同定および定量を行ないました。


【研究結果】

1.3割を超える家庭で、リビングや寝室のカーテンにカビが発生。(添付資料1)
 首都圏在住の主婦213名を対象に、リビングや寝室について、カビを気にしている箇所・カビが生えた経験・現在の状況について、2009年5月にアンケート調査を行ないました。一部の家庭については、訪問調査も実施しました。その結果は以下のとおりでした。(1〜4は、添付資料1のグラフに対応しています。)

(1)「カビが気になったことがある箇所」として、窓まわりは4割、カーテン・壁・押入れ・クローゼットは約3割の方が「気になる」と回答しました。

(2)「実際にカビが生えたことがあるもの」として、カーペットや布団などの洗いにくい布製品を対象に聞いたところ、「カーテン」との回答が最も多く、3割を超える家庭でカーテンにカビが生えた経験があることがわかりました。

(3)調査の時点でカビの生えた経験のある家庭の8割で「現在もカーテンにカビが生えている」と回答し、カビの生えたカーテンはリビング、または寝室に多く設置されていました。

(4)その原因について調べたところ、約7割の家庭で、カーテンは半年以上洗濯されていませんでした。

 また、リビングや寝室の窓では結露が頻繁に発生しているとのことでした。実際に家庭を訪問してカーテンを観察したところ、カーテンの下部を中心に、黒い斑点模様を描いてカビが生えていました(写真1)。
 これらの結果より、カーテンは、カビの栄養(汚れ)および水分(窓の結露)が豊富にあり、カビの生えやすい環境であることが推測されました。

※参考画像は添付の関連資料を参照


2.カビの種類は、クラドスポリウム属(クロカビ)が中心。(添付資料2)
 今回の調査対象家庭から、カビ様の黒い斑点が認められたカーテン(厚手のカーテン9枚、レースのカーテン18枚)を回収し、カビの種類の同定・定量を行ないました*。
 回収したカーテンから生理食塩水を用いて付着している菌を抽出しました。抽出液をPDA培地またはM40Y培地(いずれも糖分を含む寒天培地の一種)で培養して菌を確認したところ、およそ8割に菌が認められました。

 菌の種類としては、アスペルギルス属(コウジカビ)、ユーロチウム属(カワキコウジカビ)、クラドスポリウム属(クロカビ)、ペニシリウム属(アオカビ)、ほかに酵母や放線菌が認められました。そのなかでも、クラドスポリウム属(クロカビ)が最も多く、多いものではカーテン10cm2に数十万個ものカビが認められました。このことから、カーテンに認められるカビ様の黒い斑点はクラドスポリウム属(クロカビ)によるものが多いと考えられました。

 このカビは、住環境に多く見られる種類です。お風呂などの水まわりによく見られる黒いカビの一種でもあり、また屋内空気中やハウスダストにも多く存在していることが知られています。また、乾燥および日光への耐性も比較的高いことが知られています。いったん生えてしまうと、通常の洗濯などではその色素を完全に除去することはむずかしいため、日ごろからカビが生えないように気をつけることが重要と考えられました。

*カビの同定・定量および、本実験の遂行においては、NPO法人 カビ相談センター(代表 高鳥浩介先生)にご協力いただきました。


【参考:衣類・布製品用の除菌消臭スプレーにカーテンのカビ生育抑制効果を確認】
 日常的に簡単にできるカーテンのカビ対策のひとつとして、主に消臭目的に使用されている市販の衣類・布製品用の除菌消臭スプレーのカビ生育抑制効果を、モデル試験と実使用試験によって検討しました。

(1)モデル試験
 PDB培地(糖分を含む液体培地の一種)を含ませた試験布に、家庭のカーテンから抽出したカビを含む水溶液を滴下し、さらに除菌消臭スプレーを滴下し、25℃、相対湿度100%で7日間培養してその影響を調べました。
 その結果、比較対照として生理食塩水を用いたものではカビの生育が認められましたが、除菌消臭スプレーを滴下したものではカビは生育しませんでした。

(2)実使用試験
 続いて、一般家庭での通常使用における除菌消臭スプレーの抗カビ効果を検証するために、実使用試験を行ないました。(2010年2月上旬〜4月中旬)
 13軒の家庭に新品の両開きのレースカーテンを配布し、カーテンの片側だけに1日1回、除菌消臭スプレーを標準的な使用量(全体的に少し湿り気を帯びる程度)で2カ月間カーテンにスプレーしていただきました。

 2カ月経過後のカビの生育状況を肉眼で観察したところ、除菌消臭スプレー使用の有無にかかわらず、カビは認められませんでした。しかし、2カ月経過後のカーテンに栄養分としてPDB培地を滴下し、25℃で5日間培養したところ、除菌消臭スプレーを使用しなかったカーテンではクラドスポリウム属などのカビが認められました。一方、除菌消臭スプレーを使用し続けたカーテンからは、13家庭すべてでカビは認められませんでした。

 この結果より、2カ月使用後のカーテンに肉眼ではカビは認められなかったものの、洗わずに使い続けるとカビが生育し、黒い斑点などが認められるようになる可能性があると考えられました。これに対し、除菌消臭スプレーのカーテンへの継続使用によって、カビの生育を抑制できることがわかりました。
 このことから、日常的に簡単にできるカーテンのカビ対策として、除菌消臭スプレーの継続使用が効果的であると考えられました。



添付資料1:リビングや寝室のカビの実態
添付資料2:カーテンのカビの同定および定量
 ※添付の関連資料を参照

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