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産総研、二酸化炭素とギ酸を相互変換するエネルギー効率の高い触媒を開発

2012-03-24

二酸化炭素とギ酸を相互変換するエネルギー効率の高い触媒を開発
二酸化炭素を利用した水素貯蔵技術−



<ポイント>
 ・二酸化炭素と水素からギ酸、ギ酸から二酸化炭素と水素への変換をpHで制御できる触媒
 ・常温常圧の水中で二酸化炭素をギ酸に変換することが可能に
 ・ギ酸を分解させて燃料電池に適した高圧水素の供給が可能に


<概要>
 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 野間口 有】(以下「産総研」という)エネルギー技術研究部門【研究部門長 長谷川 裕夫】太陽光エネルギー変換グループ 姫田 雄一郎 主任研究員らは、アメリカ合衆国 ブルックヘブン国立研究所(以下「BNL」という)藤田 恵津子 シニアケミストらと共同で、常温常圧の水中で水素ガスを二酸化炭素(CO2)と反応させてギ酸(HCO2H)(※)を生成するとともに、ギ酸を分解して固体高分子形燃料電池などに適した一酸化炭素(CO)を含まない高圧水素を供給できる高効率二酸化炭素/ギ酸の相互変換触媒を開発した。
 ※正式表記は添付の関連資料を参照

 今回開発した技術は、日米クリーン・エネルギー技術協力に基づく産総研とBNLの共同研究による、触媒と水素分子を活性化する新たな配位子の設計指針を見出して実現したものである。今回開発した技術は、二酸化炭素とギ酸の相互変換反応のエネルギー効率を大幅に向上できる触媒技術であり、将来の二酸化炭素を利用した大規模な水素貯蔵システムの開発が期待できる。

 この研究成果は、2012年3月19日(日本時間)に英国科学誌Nature Chemistry電子版に掲載される。


 ※参考資料は添付の関連資料を参照


<開発の社会的背景>
 二酸化炭素の排出を抑え持続可能な社会を構築するため、クリーンなエネルギー媒体である水素を基盤とする水素エネルギー社会の実現が望まれている。そのためには、エネルギー密度の低い水素ガスを安全かつ効率的に貯蔵・運搬する技術が不可欠である。二酸化炭素を、光合成の暗反応と同じように、還元して水素(エネルギー)を貯蔵できれば、水素社会の実現に貢献できるとともに、二酸化炭素の有効利用につながる。二酸化炭素の水素化によって得られるメタノールやギ酸は常温で液体であり、またエネルギー密度が比較的高いため、貯蔵・運搬が容易な水素貯蔵材料として研究開発が行われきた。しかし従来は、(1)二酸化炭素の変換プロセスは高圧高温条件を必要とするエネルギー多消費プロセスであること、(2)逆反応プロセスで再生される水素を燃料電池などへ利用するには、燃料電池の電極の劣化原因となる一酸化炭素を10ppm以下に保つ必要があること、(3)放出された水素を燃料電池などへ供給するには加圧する必要があることといった課題があり、水素の貯蔵と放出における変換反応のエネルギー効率を大幅に改善させる高性能触媒の開発が望まれていた。


<研究の経緯>
 産総研では、二酸化炭素の水素化によるギ酸の製造や、ギ酸の分解による水素の製造の研究に取り組んできた。これまで、プロトン応答型配位子によって触媒を活性化し、世界最高レベルの高性能触媒を見出し、世界で初めて水中常温常圧条件で二酸化炭素と水素からギ酸を製造することに成功した。また、有機添加物を含まない水中、100℃以下の温度で、ギ酸を分解して一酸化炭素を全く含まない水素を、世界最高効率で放出させることに成功し、水素貯蔵(ギ酸の生成)と放出(ギ酸の分解)の両プロセス用の高い触媒開発技術を持っている。一方、BNLは、人工光合成触媒の反応機構解析や、プロトンリレーを範とした水素活性化技術について技術を持っている。今回、両者の触媒技術を組み合わせた新しい触媒設計指針による高性能触媒を開発した。

 なお、本研究開発は、2009年11月13日に行われた日米首脳会談における日米クリーン・エネルギー技術協力に関する合意に基づいて実施された経済産業省「日米エネルギー環境技術研究・標準化協力事業(日米クリーン・エネルギー技術協力)」による支援を受けて行った。


 ※以下、研究の内容・今後の予定などは添付の関連資料を参照

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