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富士通など、電話の会話音声から通話相手に対する過信状態を検出する技術を開発

2012-03-24

世界初!過信状態を声の高さと大きさを基に検出する技術を開発
電話の会話を分析し、振り込め詐欺誘引通話などにおいて90%以上の精度で過信状態を検出



 国立大学法人名古屋大学(以下、名古屋大学)と富士通株式会社(以下、富士通)は共同で、電話の会話を分析することで、通話相手に対する過信状態、すなわち、相手の説明内容に対する考察能力の低下に気付いていない状態を自動検出する技術の開発に世界で初めて成功しました。

 また、本技術を適用し、電話の会話音声から過信状態の検出と特徴的なキーワードの検出を行うことで、振り込め詐欺誘引通話を検出する基本技術を開発しました。今後、携帯電話などを用いたプロトタイプによる実証実験を、警察庁(警察大学校)と株式会社名古屋銀行(以下、名古屋銀行)と協力して2012年3月より開始します。

 本研究は、2009年11月に発表済み(注1)の、独立行政法人 科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)「共生社会に向けた人間調和型情報技術の構築」研究領域(研究総括:東倉 洋一)における研究課題「行動モデルに基づく過信の抑止」(研究代表者:武田 一哉)の一環として行われたものです。


<開発の背景>
 人間の「認知・判断」能力には限界があり、好ましくない情報などを過度に与えられると、気付かないうちに情報の内容に対する考察能力が低下する過信と呼ばれる状態になります。過信状態になると、たとえば振り込め詐欺誘引通話において通話相手の説明を信じ込んでしまうことがあります。このような状況を検出して、適切なサポートに繋げることが振り込め詐欺を防ぐうえで必要となります。

<課題>
 通話相手からの好ましくない情報によって過信状態になっている状況を検出するために、音声認識により、その状況に特有なキーワードが会話に含まれていることを検出する技術が従来より用いられています。しかし、心理的抑圧を受けている場合は発声が不明瞭になることがあるため、キーワードの検出のみでは検出精度が不十分でした。そこで、このような場合でも、高い精度で過信状態を検出する技術の開発が課題となっていました。

<開発した技術>
 通話相手からの好ましくない情報により心理的抑圧を受けた場合、過信状態になることがあります。このときの図1に示すような声の高さと大きさの変化を検出することで過信状態らしさを推定する技術を、世界で初めて開発しました。


 図1 声の高さと大きさの変化の例

 ※添付の関連資料を参照


<効果>
 今回開発した技術を用いた振り込め詐欺誘引通話の検出実験において、90%以上の精度で過信状態を検出できることが分かりました。これにより、過信状態検出の基本技術実現の目処が立ちました。

振り込め詐欺誘引通話検出への適用>
 大きな社会問題となっている振り込め詐欺(注2)の抑止のためには、振り込め詐欺誘引通話を検出して被害者本人の注意を喚起したり、図2に示すように家族などの冷静な第三者の注意を喚起してサポートに繋げることが有効と考えます。


 図2 振り込め詐欺誘引通話の検出とサポート

 ※添付の関連資料を参照


 本検出処理では、図3に示すように、過信状態らしさの推定と、そのときの状況を示す特徴的なキーワードの検出を行い、これらの結果の統合により振り込め詐欺誘引通話の検出を行います。

 なお、警察大学校より提供を受けたキーワードリストや実際の振り込め詐欺誘引通話の録音データも用い、本技術の動作確認を行っています。

 1.被害者音声からの過信状態の推定
   被疑者からの好ましくない情報を過度に与えられた場合の被害者の過信状態らしさを、図1に示すような声の高さと大きさの変化を検出することで推定する機能を実現しました。

 2.被疑者音声からの特徴的なキーワードの検出
   振り込め詐欺誘引通話では、被疑者が、被害者の身内や権威を持つ警察や弁護士を騙り、身内の不祥事や犯罪などに関連する好ましくない情報を与えます。このときの被疑者音声に出てくる「借金」や「補償」などの特徴的なキーワードをあらかじめ登録したリストを用いて音声から抽出し、それ以外の音声は無視するワードスポッティング型音声認識技術を用いることで、通話に含まれる振り込め詐欺に関連するキーワードの数を検出する機能を実現しました。


 図3 振り込め詐欺誘引通話の検出技術

 ※添付の関連資料を参照


<今後>
 名古屋大学と富士通は、今回の振り込め詐欺誘引通話技術を搭載した携帯電話などを用い、警察大学校名古屋銀行とも協力して実証実験を進め、さまざまな振り込め詐欺の事例に対する実用性の確認と、課題の抽出、解決を図ります。

<商標について>
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。


以上


■注釈
 注1 2009年11月に発表済み:
    PRESS RELEASE“「行動モデルに基づく過信の抑止」の研究開始について”
    http://pr.fujitsu.com/jp/news/2009/11/13.html

 注2 振り込め詐欺
    警察庁“警察庁振り込め詐欺対策HP,被害発生状況・被害額”
    http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki31/1_hurikome.htm

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