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NEC、M2Mネットワークを構築するセンサなどに組み込むモジュールに搭載可能なアンテナを開発
NEC、メタマテリアルを応用し、無線モジュールの通信性能を向上する世界最小クラスのアンテナを開発
〜 M2Mネットワークを構築するセンサへの活用に最適 〜
〔スプリットリング共振器アンテナ〕
*添付の関連資料「添付画像」を参照
NECは、M2M(Machine to Machine)ネットワークを構築するセンサなどに組み込む近距離無線モジュールに搭載可能な、世界最小クラスのアンテナを開発しました。
開発した小型アンテナは、人工材料「メタマテリアル(注1)」の構成要素の一種であるスプリットリング共振器(注2)を、アンテナの素子として採用したものです。スプリットリング共振器を多層に積み重ねることで、十分な電波の放射量を維持しながら、世界最小クラスのアンテナ素子を実現しました。また、共振器の形状を最適化することにより、機器組み込み時のアンテナ性能の変動を抑制すると共に、全方向に感度を有する電波放射特性を実現しました。
本アンテナを、M2Mネットワークを構成するキーコンポーネントとなるZigBeeやBluetoothなどの近距離無線モジュールに搭載することで、通信距離を延ばしたり、配置や向きの制約を解消することが可能となります。これらにより、より安定して繋がりやすいM2Mネットワークを実現します。
このたび開発した技術の特長は以下のとおりです。
1.素子サイズが世界最小クラスのアンテナを実現
プリント基板に形成したスプリットリング共振器を複数積層する新構造を開発。これにより、単層の共振器と比較してアンテナの容量成分を増加し、電波の放射効率を高く保ちながら、世界最小クラスのアンテナを実現。
2.機器に組み込んだ際の性能の変動を抑えたアンテナを実現
スプリットリング共振器の形状を最適化することにより、電流を共振器の周囲に集中。これにより、従来のアンテナでは、基板や機器内の構造物などに電流が流れ出てしまうために発生していたアンテナ性能の変動を抑え、安定した送受信性能を実現。
3.全方向に高い感度を有するアンテナを実現
スプリットリング共振器に流れる二方向の電流を最適に組み合わせて、全方位への電波の放射を実現。これにより、従来のアンテナでは存在していた電波の放射方向の偏りが無くなり、アンテナがどの方向を向いていても安定した通信が可能。
昨今、クラウドサービスの普及に伴い、センサネットワークに代表されるM2Mネットワークを構築するニーズが拡大しています。例えば、HEMS(注3)やエネルギーの見える化システム、防犯、物流管理、工場製造ラインの監視など様々な用途への利用が期待されています。
NECでは今後も、本アンテナの研究開発を進め、安定した無線接続による信頼性の高いM2Mネットワークの実現を目指します。
なおNECエンジニアリングにおいて、本アンテナを活用した無線モジュール製品の発売を、2012年度上期に予定しています。
以上
(注1)メタマテリアル
人工的な構成要素を周期的に配置することで、自然界には存在しない物性を持つ材料。誘電体に導体よって構成された小片(セル)が、電磁波の波長に比べ短い周期で多数配列した構造を持つ。
(注2)スプリットリング共振器
メタマテリアルを構成する要素の一種。金属リングの一部を切断したCの字型構の共振器であり、磁性体としての性質を示す構造体。
(注3)HEMS(Home Energy Management System)
家庭内で家電機器の電力消費量を表示したり、遠隔地から運転を制御するシステム。