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竹中工務店と竹中土木、「LAMP法を用いた分解菌の評価法」を開発し原位置浄化に適用

2012-03-10

「LAMP法を用いた分解菌の評価法」を開発し、原位置浄化に適用
VOCを分解する特定分解菌を迅速・簡易に検出し、土壌浄化を効率化


 竹中工務店(社長:竹中統一)と竹中土木(社長:竹中康一)は、揮発性有機塩素系溶剤(以下、VOC(※1)による汚染土壌・地下水を原位置で浄化する工法(=汚染土壌を掘り起こさない浄化工法)の一つである「嫌気性バイオスティミュレーション」を効率的に実施するため、「LAMP法を用いた分解菌の評価法」を開発し、実証実験により性能を確認しました。(2011年11月、特許出願済)。今後は、この評価法の積極的な展開を図ります。

 「嫌気性バイオスティミュレーション」とは、現地の土壌や地下水に生息するVOC分解能力を持つ菌に栄養剤を与えて増殖・活性化させ、土壌浄化を促進させる工法です。この中で、VOC汚染の事例として最も多いトリクロロエチレンやテトラクロロエチレンに代表される塩素化エチレン類を効率よく分解するのがデハロコッコイデス属細菌(※2)です。そのため、デハロコッコイデス属細菌が土壌・地下水内にどれだけ生息するか評価することが重要となります。また、「嫌気性バイオスティミュレーション」実施中にも、その後の分解が最後まで進行するために十分なデハロコッコイデス属細菌数を適時確認できることが、効果的な実施には必要となります。
 「LAMP法を(※3)用いた分解菌の評価法」により、デハロコッコイデス属細菌の分析を低コスト・短期間で行い、嫌気性バイオスティミュレーションの適用可能性の判定及び対策期間中での適切な管理を可能としました。
 2010年4月に改正土壌汚染対策法が施行され、汚染土壌の場外搬出にはより強い制約が付加されたことから、低コスト・低環境負荷で行える原位置浄化の適用機会が増えつつあります。
 工場などで適用件数が増加している嫌気性バイオスティミュレーションに併せて本技術を提案・適用し、効果的な汚染土壌・地下水の浄化促進を図ることで、お客様の土地活用に貢献してまいります。


■「LAMP法を用いた分解菌の評価法」の概要
 この評価法では、デハロコッコイデス属細菌を見つけ出すために、栄研化学(株)が開発したLAMP法を活用しました。LAMP法とは、特定のDNAを意図的に増幅させる方法ですが、そのためには、増幅の対象となる分解菌のもつ特定のDNAを見つけ出す目印(プライマー)が必要となります。このたび、デハロコッコイデス属細菌のDNAを特定するのに最適なプライマーを開発し、「LAMP法を用いた分解菌の評価法」を確立しました。


■評価法のメリット(従来技術による評価法との比較)
 今回開発の評価法は、従来使われていた「Real−time PCR法によるデハロコッコイデス属細菌の評価法」と比較すると、以下のようなメリットがあります。

・従来方法による検査は、高価で大型の検査機器を必要とするため、特定の施設のみでの使用に限られ、現地での測定は難しいのが現状です。一方、LAMP法は検査機器の移動が容易で、汚染土壌・地下水のある現地での検査が可能となり、嫌気性バイオスティミュレーションの適用の有無の評価を低コスト・短期間で実現します。

・従来方法よりも低コストな検査法であり検査頻度を増やすことができます。これにより土壌・地下水浄化の進行状況および将来予測の指標となるデータを多く入手でき、原位置浄化の効率化を実現します。


■評価の方法
DNAの抽出:採取した土壌や地下水から細胞破砕装置、DNA抽出用キット等を用いて試料中の微生物DNAを取り出します。
DNAの増幅・計測:DNA試料、DNA 増幅試薬(DNAポリメラーゼなど)、デハロコッコイデス属細菌検出用のプライマー(今回新たに開発)を混合し、LAMP反応装置で反応させます。LAMP反応装置では、増幅されたデハロコッコイデス属細菌のDNAを濁度として0.5〜1時間程度で計測します。

微生物数の算出:濁度の測定結果より、土壌・地下水に存在するデハロコッコイデス属細菌数を算出します。

※1:VOC
 土壌汚染対策法の第1 種特定有害物質の総称であり、塩素化エチレン類としてはトリクロロエチレンやテトラクロロエチレン等に代表される。油脂成分の溶解能や難分解性、不燃性などの特性により、洗浄剤や、塗料・接着剤の溶剤などで広く普及してきた。

※2:デハロコッコイデス属細菌
 テトラクロロエチレンやトリクロロエチレンに代表される塩素化エチレン類を分解する細菌群

※3:LAMP法(Loop−Mediated Isothermal Amplification)
 栄研化学(株)が開発した特定DNAの増幅・検出方法。従来のPCR法では専用装置での複雑な温度操作で2〜3時間が必要であったのに対し、増幅から検出までの工程を1ステップで行うことができ、検出対象の特定DNAを15分〜1時間で109〜1010倍に増幅し、検査に必要なDNA を得ることができる。


*参考資料は添付の関連資料を参照

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