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国際航業グループ、東京湾で単離した高い油分解特性をもつ微生物を用いた土壌・地下水浄化サービスを展開
東京湾で発見した油分解菌を活用し、安価で確実な油汚染土壌浄化を提案
〜東日本大震災で発生した沿岸域における油汚染土壌に対しても適用可能〜
グリーン・コミュ二ティの実現を目指す国際航業グループ(国際航業ホールディングス株式会社 コード:9234、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:呉文繍)傘下の国際環境ソリューションズ株式会社は、このたび、東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科の今田千秋教授との共同研究により、東京湾の海水中から単離(※1)した高い油分解特性をもつ4種類の微生物を用いたバイオオーグメンテーションによる土壌・地下水浄化サービスを本格的に開始します。
近年、建設工事や土地売買時に油汚染土壌が問題となるケースが多く、その浄化のために掘削除去をはじめ様々な工法が適用されています。その中で、微生物による浄化は、他の工法に比べ安価で、かつ安全性が高いことから適用が増えています。
微生物による浄化には、油分解菌自体を添加して油類の分解を促進する「バイオオーグメンテーション法」と、栄養塩等を添加して土壌中に元々生息している油分解菌を活性化させて油類の分解を促進する「バイオスティミュレーション法」があります。
<図1.バイオオーグメンテーションとバイオスティミュレーション>
※添付の関連資料を参照
今回、共同研究により開発した4つの微生物によるバイオオーグメンテーションは、4種類の油分解菌からなる微生物製剤を栄養塩とともに添加することにより、バイオスティミュレーションよりも高い油種の分解効率を実現することが大きな特長であり、浄化作業の計画を立てやすくします。
国際航業グループでは、今回研究開発した安全で安価な微生物製剤を、油類およびベンゼンにより汚染された土壌を原位置浄化するための効果的なツールの一つとして、当グループが実施する土壌浄化対策工事で使用していきます。
本サービスで提供する分解菌は、もともと海洋に生息していた微生物であることから、一般的な土壌環境においてだけでなく、塩分濃度の高い土壌にも適用が可能です。この特長を生かし、海岸域などの塩分濃度が高い土壌の浄化にも適用すべく、事業展開を図ると共に、震災復興への貢献を果たしていきます。
<写真1.開発した油分解菌>
※添付の関連資料を参照
【本サービスのポイント】
[1]幅広い油種に対する有効性
油類は様々な成分の混合物であるため、複数の微生物が油類の分解に寄与していると考えられています。国際航業グループでは、東京湾の海水中より油分解特性の高い4株を選択・単離し、そのうち2株は、通常分解が難しいとされる潤滑油等の粘性が高く重質系の油に対しても高い油分解能力を持つことを確認しました。
これらの分解菌を組み合わせることにより、ガソリンや軽油等の燃料系だけではなく、幅広い油類に対してバイオレメディエーションの適用が可能となります。
[2]優れた経済性
一般に用いられることの多い掘削除去工事より安価なことはもちろん、従来の微生物製剤と比較しても安価となるため、浄化工事全体で3〜4割のコストダウンが可能です。
[3]安全性
単離した微生物については、種の同定を行い病原菌ではないことやミジンコおよび藻類に対する毒性も全くないことを確認しています。
[4]確実性の高い浄化
バイオスティミュレーションや複合微生物製剤を用いたバイオオーグメンテーションの場合、実際に分解に寄与している微生物の増減を把握できないため、浄化の進捗を的確に評価できないことが多くあります。
本サービスで使用する分解菌の場合、環境中でそれぞれの単離菌を検出する方法を確立しているため、浄化状況を的確に判断し、効率的かつ効果的な浄化対策に結びつけることができます。
以 上
※「国際航業グループについて」などは、添付の関連資料「ご参考」を参照