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NICT、多層仮想化ネットワーク上で映像配信を行いながらリアルタイムに解析・監視する実験に成功
複数の新世代技術を活用した「多層仮想化ネットワーク」による
国内外複数拠点への同時放送配信・運用実験に成功
〜未来を先取り!新世代に向けたネットワーク技術で“さっぽろ雪まつり”のライブ映像を同時配信・モニタリング〜
独立行政法人 情報通信研究機構(以下「NICT」、理事長:宮原 秀夫)は、JGN−X(*1)上に新世代に向けたネットワーク技術として研究を進めている、各種技術を多層的に実装した動的オンデマンドネットワークを構築し、映像配信を行いながら、かつリアルタイムに解析・監視する実験に成功しました。
この実験では、現在研究中の各種ネットワーク制御技術を用い、NICTが運用するJGN−Xに加え、本実証実験の協力機関が運用する複数ネットワークを仮想的に統合化した広域かつ多階層のネットワークを作成した上で、ネットワークユーザからの要望を踏まえたネットワーク環境を柔軟に構築(論理配分)可能とする新世代のネットワーク運用技術の実検証を行ったものです。
【背景】
NICTでは、2011年4月から、新世代ネットワークの実現等に向けた研究開発用テストベッドネットワークとして、JGN−Xを構築、運用しています。
今回の実験では、新世代に向けたネットワークの技術として開発が進んでいるOpenFlow(*2)、SDTN(*3)、SA46T(*4)の技術を統合・多階層的に用いて、サービス条件の異なる複数の国内外ネットワークを仮想的に一つにまとめた動的オンデマンドネットワークを形成し、コンテンツ(さっぽろ雪まつり(*5)会場からのハイビジョン映像)を同時に国内外の複数拠点へ高品質にて伝送しながら、統合化した画面(GUI)からの経路制御を行うことで、広域かつ多階層ネットワークの運用技術の実検証を行いました。その際、新世代での高度運用を念頭に置き、多層化されたネットワーク内を高精度なネットワーク計測技術(*6)を用いて、複数階層にわたり、高精度に測定・分析しました。OpenFlowでは世界初のIPv4マルチキャスト配信を、Trema(*7)上で開発したアプリケーションを用いて成功しました。
また、シンガポール及びタイの研究機関と協力し、日本とシンガポール・タイ国間で接続して、ハイビジョン映像を伝送する実験を行いました。同時に、この国際協力の下、ITU−T標準IPTV技術である、LIME(*8)を用いた各国へのVOD及び3Dライブストリーミング配信実験も実施されました。
さらに、さっぽろ雪まつり会場では、Wi−Fiを用いたスマートフォン向け映像配信実験にも成功しました。
なお、これらの実験は、補足資料に記載された実施方針を基に、別紙に記載された機関の協力、協賛を得て実施したものです。
※参考画像は添付の関連資料を参照
【実験のポイント】
・ユーザごとに最適なネットワークを複数機関のネットワークから統合・提供
・OpenFlow/SDTN等のSDN(Software Defined Network)によるユーザ側での高速経路切替え
・高度多重化通信に対応したトラフィック解析
・NICT、NEC、富士通、NTT、NECTEC等の国内外の研究機関・企業を含む新世代ネットワーク技術にフォーカスした産官学連携
【今後の展望】
多層化された動的オンデマンドネットワークを用いる技術及び運用手法の確立により、サーバ環境でのクラウドサービスモデルに似た、複数キャリア・国・地域にまたがったオンデマンドネットワーク資源の提供や、通信・放送事業サービスにおける新しいビジネスモデル構築の可能性などをもたらします。
※用語解説、補足資料などは添付の関連資料を参照