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NTT、話した言葉を文字として表示するバリアフリーコミュニケーションシステム「こえみる」を開発
コミュニケーションのバリアフリー化を実現する「こえみる」を開発
〜ろう学校でのフィールド実験の開始〜
日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:三浦 惺、以下NTT)は、NTTの研究所が開発した音声認識技術を核とするバリアフリーコミュニケーションシステム「こえみる」(図1)を開発しました。
「こえみる」を利用する事により、障がい者を対象に学校等の教育現場において、先生が話した言葉を児童生徒の手元にあるタブレット端末に“文字”としてリアルタイムに表示させることを可能とします。本システムを活用した情報保障(※1)環境の実現に向け、本日より、ろう学校にてフィールド実験を開始します。
1.背景・目的
ICTは、情報コミュニケーション手段として社会生活に大きな影響をもたらし、様々な活用がされています。一方、身体的条件により、ICTの恩恵を享受できていない方がいることも事実です。
NTTでは、全ての方へICTの恩恵を享受して頂くため、ICTを誰もが簡単に身近に使えるツールとして活用できるよう検討をしてまいりました。さらにICTを活用し、特別な支援を必要とする方たちのQOL(Quality of Life)向上につなげるため、「人と人をつなぐ」をコンセプトに、コミュニケーション分野に特化し、R&D技術と情報通信端末とのユーザインターフェースの融合に着目し、研究開発を推進してきました。
2.「こえみる」の特徴
NTTサイバーソリューション研究所が開発した「こえみる」は、聴覚障がいのある方のコミュニケーションにおける情報保障を目的とし、音声認識技術や通信機能を具備させた各種端末を利用して、“発話内容の文字変換”、“発話音量の可視化”等を提供するソリューションです。
また事前に話者の声を収録し、サーバ側でモデルチューニングをおこなうことで、音声認識率向上を図ります。
特定の端末への表示及び同時に複数台への表示が可能であり、利用用途に応じて閲覧グループ設定を行う事でコンテンツの制御・管理を行う事も可能です。
3.フィールド実験の概要
フィールド実験では、スマートフォン・PCを利用して、先生が話した言葉(音声)を収集し、インターネットを介してクラウド上にある音声認識サーバで処理を行い、児童生徒用端末及び電子黒板へ文字を出力します。これにより、聴覚に障がいのある児童生徒に対し情報保障およびコミュニケーションのサポートを実現します。
今回のフィールド実験では、実際の授業の中で利用してみることで、先生や児童生徒からご意見等を頂き、「こえみる」の有効性、学校現場での技術の利用可能性等を評価致します。
(1)実施期間
2012年1月30日(月)〜3月7日(水)
(2)対象校および学年
・鳥取県立 鳥取聾学校 ひまわり分校 小学部5年
・沖縄県立 沖縄ろう学校 小学部1年、高等部3年
(3)提供インフラおよびサービス等
ブロードバンド回線、校内無線LAN、電子黒板、先生用PC・スマートフォン、児童用端末(ニンテンドーDSi※)、ニンテンドーDSi対応ソフト「スピーチサポートDS」
※ニンテンドーDSiは任天堂株式会社の商標登録です。
4.協力企業
・任天堂株式会社
・特定非営利活動法人プロジェクトゆうあい
・NTTクラルティ株式会社
5.今後の展開
今回のフィールド実験を踏まえ、更なるユーザビリティ・機能向上に向け研究開発を推進するとともに、適用可能な市場の拡大検討を進めてまいります。NTTグループは今後もICTによるバリアフリー社会の実現を目指し、研究開発を推進していきます。
【用語解説】
(※1)情報保障:身体的なハンディキャップにより情報を収集することができない方に対し、代替手段を用いて情報を提供すること。
・【図1】 NTTの提供するバリアフリーコミュニケーションシステム「こえみる」の構成要素
*「図1」は添付の関連資料を参照