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武田薬品、ベルケイドの皮下投与について米国食品医薬品局から適応追加承認を取得
米国におけるベルケイドの皮下投与(SC)の適応追加承認取得について
−ベルケイドの皮下投与は経静脈投与(IV)と比較し、同等の有効性と安全性を示す一方
末梢性神経障害の発現が減少−
当社と当社の100%子会社であるMillennium Pharmaceuticals, Inc.(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、以下「ミレニアム社」)は、ベルケイド(一般名:ボルテゾミブ)の皮下投与(SC)について、米国食品医薬品局(FDA)より適応追加承認を取得しましたのでお知らせします。なお、ベルケイドの経静脈投与(IV)で現在取得している効能(多発性骨髄腫、治療経験のあるマントル細胞リンパ腫)は、皮下投与についても認められました。
今回の適応追加承認取得は、222人の再発した多発性骨髄腫の患者を対象として、ベルケイドの経静脈投与と皮下投与を比較するために、グローバルで実施したオープンラベルの無作為・非劣性臨床第3相試験の結果に基づくものです。本試験における主要評価項目は、ベルケイド経静脈投与または皮下投与での治療を4サイクル(※)実施した後の全奏功率(ORR)です。ベルケイドによる治療を4サイクル実施した後、完全寛解に至らなかった場合は、次の4サイクルでベルケイドに加え、デキサメタゾン20mgを連日投与しました。副次評価項目は、ベルケイドを8サイクル投与した後の安全性および忍容性、全奏功率(ORR)、完全寛解(CR)率、増殖抑制時間(TTP)、無増悪生存期間(PFS)、1年後の全生存期間(OS)です。
(※)4サイクルの投与期間は12週間
本試験結果については、2011年5月のLancet Oncologyに掲載され、皮下投与は経静脈投与と同等の効果および安全性を示しました。一方、末梢性神経障害の発現頻度については、皮下投与38%、経静脈投与53%であり、グレード3以上で皮下投与6%、経静脈投与16%でした。
ミレニアム社のChief Medical OfficerであるKaren Ferranteは、「ベルケイドの皮下投与は、多発性骨髄腫やマントル細胞リンパ腫の患者さんの治療をさらに前進させるものです。経静脈投与と同等の効果を示し、さらに、深刻な末梢性神経障害の発現率において大きな違いが見られました」と述べています。
Massachusetts General Hospital Cancer Center多発性骨髄腫治療センターでDirectorであるNoopur Raje医師は、「新たに承認された皮下投与は、患者さんに対して有効ですが、特に静脈ルートの確保が困難な患者さんならびに末梢性神経障害の既往者や発症リスクの高い患者さんなどにお役立ていただけるものと期待しています。一人ひとりの患者さんに沿った幅広い治療オプションを持つことが重要であると考えます」と述べています。
<試験結果の概要>
.8サイクルの治療を実施した場合の全奏効率(ORR)は、経静脈投与で51%、皮下投与で53%に改善した。
.8サイクルの治療を実施した場合の完全寛解(CR)率は、経静脈投与で12%、皮下投与で11%だった。
.追跡調査(中央値11.8ヶ月)における増殖抑制時間(TTP)は、静脈投与で9.4ヶ月、皮下投与で10.4ヶ月だった。
.追跡調査(中央値11.8ヶ月)における全生存率(OS)は、経静脈投与で76.7%、皮下投与で72.6%だった。
経静脈投与と皮下投与の比較において、発現率に5%以上の違いがあったグレード3以上の副作用は以下の通り
.末梢性神経障害 経静脈投与16%、皮下投与6%
.血小板減少症 経静脈投与19%、皮下投与13%
.神経痛 経静脈投与9%、皮下投与3%
なお、FDAは今回の皮下投与の注射製剤の販売許可適応追加承認取得に加え、不用意な髄腔内投与によって深刻な副作用が発現するケースがあったことから、髄腔内投与を使用禁忌に追加しました。ベルケイドは経静脈投与および皮下投与での使用に限られます。
以上
<ベルケイドについて>
ベルケイドは、ミレニアム社とOrtho Biotech Oncology Research & Development(Johnson & Johnson Pharmaceutical Research & Developmentの一部)によって共同開発されました。ミレニアム社は米国において販売権を有し、Janssen−Cilagが欧州を含めた米国以外の全世界における販売権を有します。なお、武田薬品とヤンセンファーマ株式会社は2010年5月、日本におけるベルケイドのコ・プロモーション契約を締結しました。現在ベルケイドは、90カ国で30万人以上の患者さんに使用されています。