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ルネサスエレクトロニクス、電源変換回路を1パッケージ化した「SiC複合パワーデバイス」を発売

2012-01-27

SiCパワー半導体第2弾、電源変換回路を1パッケージ化した
「SiC複合パワーデバイス」シリーズを発売
〜家電機器、パワーエレクトロニクス機器の省電力化、省スペース化に貢献〜



 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)は、このたび、エアコン等の家電機器やPCサーバ、太陽光発電等のパワーエレクトロニクス機器向けに、低損失化に有効な新材料の炭化ケイ素(Silicon Carbide 以下SiC[注1])を採用したパワー半導体の第2弾として、電源変換回路やスイッチング回路を構成するSiCダイオードと複数の高耐圧トランジスタとを業界で初めて1パッケージ化した「SiC複合パワーデバイス」シリーズを製品化、「RJQ6020DPM」など3製品を2012年2月よりサンプル出荷いたします。

 新製品はSiCダイオードの採用と回路の1パッケージ化により、当社従来のダイオードによる単品構成時と比べ(1)大幅な電力の低損失化、(2)実装面積の半減を実現しています。例えば、PCサーバの力率改善回路(PFC)用にSiCダイオードと高効率パワーMOSFETを組み合わせた「RJQ6020DPM」では、約26%の低損失化により動作効率97.8%を実現、実装面積も約半分の16mm×40mm(5ピンのTO−3P外形)に小型化しており、機器の省電力化、省スペース化に貢献します。また、1パッケージ化による回路の高信頼性と、ユーザでの回路ユニット設計の容易化を提供できます。
 量産は2012年5月から開始し、2013年4月には合計月産30万個を生産する予定です。今後、積極的な拡販活動と併せて生産能力の拡大を強力に推進してまいります。


<背景>
 近年、環境保全等のために機器の省エネルギー化が推進され、様々な電気機器における高効率化が求められております。特にエアコン、通信基地局やPCサーバ、太陽光発電などのパワースイッチング回路や、モータ、産業機器などに搭載したインバータ回路では、電力変換効率、動作効率の向上による省電力化が強く推進されており、パワーデバイスにも効率改善による低損失化が要求されております。ルネサスはこれらのご要求にお応えするために、昨年、SiC採用により低損失化を実現したSiCショットキーバリアダイオード(以下SiC−SBD)を製品化しています。そして今回、第2弾として、スイッチング回路等でSiC−SBDと組み合わせて使用する高耐圧パワーMOSFETないしIGBTとを業界で初めて1パッケージ化した「SiC複合パワーデバイス」シリーズを製品化したものです。


<製品について>
 新製品は、600V耐圧品で、SiCダイオードには株式会社日立製作所とルネサスが共同開発した低リークSiC−SBD技術を適用しております。低損失化と小型化という特長に加え、外形にTO−3Pフルモールドの5ピンを採用し、各用途に最適なピン配置を採用しているため、新製品を用いることで容易に回路ユニットを構成することができます。
3製品の概要と主な特長は次の通りです。

 1.臨界モードPFC用「RJQ6020DPM」
  エアコン、FPDテレビ電源等の臨界モードPFC用スイッチング回路に必要なSiC−SBDと高耐圧パワーMOSFETを1パッケージ化。動作効率97.8%を実現し、当社従来の単品で構成した場合と比べ約26%の低損失化が可能です。
  なお、搭載したSiC−SBDの逆回復時間(trr)(注2)は15ナノ秒(15ns)と速く、高耐圧パワーMOSFETは、深溝トレンチ構造による高効率スーパージャンクション型(SJ−MOS)製品のため、低オン抵抗(注3)100mΩを実現しております。
  また、新製品と当社臨界モードの力率改善制御(PFC)IC「R2A20112A/132」とを用いることで、容易にインターリーブ制御(注4)を実現可能です。

 2.連続モードPFC用「RJQ6021DPM」
  通信用AC/DC整流器、PCサーバ等のPFC用に必要なSiC−SBDとIGBTを1パッケージ化。
  搭載したSiC−SBDの逆回復時間(trr)は15ナノ秒(ns)、IGBTには、高効率化が図れる極薄ウエハIGBTを用いることで、連続モードPFCに適した低オン電圧1.5Vを実現しております。
  また、新製品と当社の連続モードPFC−IC「R2A20114A」とを用いることで、容易にインターリーブ制御を実現できます。

 3.インバータ用ハーフブリッジ「RJQ6022DPM」
  エアコン、産業機器のモータ駆動等のインバータ用ハーフブリッジの回路に必要なSiC−SBDとIGBT各2個を1パッケージ化。搭載したSiC−SBDの逆回復時間(trr)は15ナノ秒(15ns)、IGBTには、極薄ウエハIGBTを用いることで、モータ駆動に適した低オン電圧1.4V、負荷短絡耐量(tsc)(注5)6マイクロ秒(μsec)を実現しております。
  また、本製品1個でハーフブリッジ回路に対応しているため、2個でフルブリッジ、3個で3相ブリッジの構成を実現できます。モータ駆動回路の設計容易化が図れる共に、当社のRX600シリーズ等のマイコンとのキットソリューションも展開していきます。

  なお、サンプル価格はそれぞれ1,000円です。
  ルネサスは、マイコンとアナログ&パワーデバイスのトータルソリューションの提供によるユーザへの貢献と、パワーデバイスでの世界トップグループ入りを目指しており、この「SiC複合パワーデバイス」シリーズを高耐圧パワーデバイスの中核とし展開していきます。そして、新製品とマイコン、電源コントロールIC等とのキットソリューションの拡充を進めるべく、今後、新製品とPFC−ICや、「RX600シリーズ」等を搭載したリファレンスボードなどを準備し、ユーザにおけるキット評価やセット設計のサポートを進めてまいります。

  新製品の仕様は、別紙をご参照ください。


以上


(注1)炭化ケイ素(Silicon Carbide):
 シリコンよりも熱伝導率、許容動作温度、放射線耐量、絶縁破壊電界強度等が優れており、パワーデバイスの大幅な低損失化を実現できる素材として期待されている。

(注2)逆回復時間(trr):
 ダイオードに規定の順方向電流を流した後、オン状態からオフ状態に切り換える際、接合に蓄積している少数キャリアの影響で逆方向に電流が流れる。この時、オフしてから規定の逆電流値に回復するまでの時間を表す。

(注3)オン抵抗:
 パワーMOSFETが動作している時の動作抵抗であり、数値が低いほど導通損失を低減できる。

(注4)インターリーブ制御:
 PFCの2つのスイッチング素子、コイル、ダイオードに交互に電流を流す方式で、従来のシングル方式に比べ、コイルやコンデンサ等の部品を小さくでき、大電力領域で高効率が得られるなどのメリットがある。

(注5)負荷短絡耐量(tsc):
 IGBTの負荷が短絡しコレクタ電流が増大する際に、短絡電流が流れ始めてから破壊にいたるまでの時間を表す。保護回路の動作タイミングを設計する際の目安とされる。


*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。



<別紙>「SiC複合パワーデバイス」シリーズ目標仕様

 ※添付の関連資料「別紙」を参照


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